会社を辞めて米を作る漫画編集者がどうしても伝えたい”都会と田舎の間にある無限の選択肢”って?
【終了しました】この記事の最後に、コミックス第1巻が抽選で当たるキャンペーンについてのお知らせがあります!
ぜひ、最後までお読みください。
ある日、縁側編集部に届いた一通のメール。
はじめまして!
講談社『イブニング』にて「漫画編集者が会社を辞めて田舎暮らしをしたら異世界だった件」という漫画を連載しております、
漫画原作者のクマガエと申します。今回は地方移住や自然に関する記事を多数掲載されております縁側様に、 わたくしクマガエのインタビューをお願いしたく、
ご連絡させていただきました。この漫画は、実際にマンガ編集者だった著者が会社を辞め、 夫婦で地方移住した実話をベースに描かれています。
タイトル通り「田舎暮らし」がテーマの漫画ですが、単に田舎暮らしの良さだけを伝えたい漫画ではありません。
最も伝えたいメッセージは「『都会暮らし』と『田舎暮らし』の間には無限の選択肢がある!」です。
読み終えた編集長のきうらゆか。
正直とてもワクワクしました。
講談社の雑誌に掲載されている漫画の原作者へのインタビュー依頼なんて…なんかすごい!
しばし興奮状態になった後、冷静さを取り戻しました。
漫画でいちばん伝えたいメッセージ、「『都会暮らし』と『田舎暮らし』の間 には無限の選択肢がある」って、「都市と田舎のある豊田市には無限の選択肢 がある」と置き換えられるかもしれない。
原作者のクマガエさんに、お話を聞いてみよう! 漫画のこと、退職して移住したきっかけ、田んぼのこと。 オンラインで取材させてもらいました。
© クマガエ/宮澤ひしを 講談社
きうら はじめまして、今回ご連絡くださってありがとうございます!最初に、縁側のどんなところに興味を持っていただけたのか教えていただけますか。
クマガエ 4月23日にコミックス第1巻を発売しました。そのプロモーションのために田舎暮らしについて取り上げているメディアを色々と検索していて、 縁側さんを見つけました。内容を拝見したところ、移住の記事だけでなく、求人だったり、はだしのコラムだったりバラエティに富んだ内容を掲載している。ここで取材してもらえたらうれしいなと思ってご連絡しました。
きうら ありがとうございます!豊田市に田舎があるってご存知でしたか?
クマガエ 全然知らなかったです。工業都市のイメージがあったので、工場があって周辺にベッドタウンが広がっていると思っていました。
きうら そうですよね。今回縁側を見ていただいたことがきっかけで豊田市について知っていただけてうれしいです。
実話が元になった移住ストーリー
きうら どんな内容の漫画か簡単に教えていただけますか。
クマガエ 東京で漫画編集者をしていた佐熊陽平が主人公です。長年担当していた雑誌が休刊になってしまって仕事を続けるモチベーションを失い、会社員としての生活に疑問を持つようになります。会社に依存せずに生きていく方法を模索する中で、佐熊は田んぼでの米作りに出会います。自分で米を作れたら飢え死にはしないという発想から、会社を辞めて田舎暮らしへ向かっていくというストーリーです。
きうら どれくらいの割合でクマガエさんの実体験が含まれていますか。
クマガエ そうですねぇ、5割くらいというところでしょうか。他の移住者のエピソードなども入っているので。僕は2009年以降、漫画専門の編集プロダクションから講談社に出向して漫画編集者をしていました。 2016年、35歳の時に米作りを始め、同じ年に退職して東京都渋谷区から千葉県の匝瑳(そうさ)市の古民家に夫婦で移住。その後、都会と田舎の中間地点に再移住して、賃貸アパートに暮らしています。
現在は米と野菜を自給しつつ、フリーランスの編集者と漫画原作者としてやっております。
漫画業界へ、まさかのカムバック
きうら どういう経緯で、講談社『イブニング』に連載することが決まったのですか。
クマガエ 漫画編集者を辞めた後、田んぼをしながらフリーランスの編集者として仕事をしていました。ずっと共働きだったのですが、妻が仕事をお休みすることになり、僕の稼ぎを増やす必要に迫られました。 そこで講談社に出向していた時の先輩に「仕事ないですか」と相談したところ、「『イブニング』の編集長が田舎暮らしに興味あるみたいだから会わない?」という返事をもらって。編集長にお会いしてみると僕の話を聞いてすごく面白がってくださって、「漫画の原作書いてみませんか?」という話をもらいました。2020年の3月半ば頃のことです。
2016年に漫画編集者を辞めて、2020年に原作者としてこの業界に戻ってきたことについては不思議な感じがしています(笑)ただ、移住や田んぼの経験を何らかの形で発信したいという気持ちは以前からありました。でも田舎暮らしのブログは星の数ほどあって書いても埋もれてしまうだろうなと。
「漫画にしませんか?」って言われた時に、道が開けた気がしましたね。 漫画編集者としてやってきたことを活かして発信できるし、チャレンジしてみようという気になりました。
きっかけは「ダウンシフト」という考え方
きうら そうなんですね。人生、何があるかわからないものですね!クマガエさんは、田舎暮らしや田んぼにもともと興味があったのですか。
クマガエ いえ、全然なかったですね。大阪の堺市に生まれ育って、自然にはあまり触れずに育ってきました。虫は今でも苦手ですし(笑) 髙坂勝(こうさかまさる)さんという方との出会いが、田舎へ向かう大きなきっかけとなりました。
ある日、「ハッピーリトルアイランド」というギリシャを舞台にした映画を観に行って、上映後のトークショーでお話されていたのが髙坂さんでした。 髙坂さんは2018月まで東京の池袋で「たまにはTSUKIでも眺めましょ」というオーガニックバーのマスターをやっていた方。経済成長至上主義、右肩上がりの世の中の流れから降りて自分らしく生きる『ダウンシフト』という考え方を提唱されていて、そのための方法としてお米作りなどの食糧自給と、生活コストを下げるための地方移住という選択があるよという話でした。
ちょうどその頃、編集者としてずっと担当してきた月刊誌の休刊が決まって、会社員を続けることに疑問を感じ始めていました。
髙坂さんの話を聞いて、「こんな選択があるなら会社を辞めても生きていけるかもしれない」と感じました。髙坂さんが千葉県匝瑳市で田んぼを区画貸しされていたので、それに参加して半畝(約50平方メートル)から始めました。
きうら そして会社を退職されたということですね。周りの方の反応はどうでしたか?
クマガエ 「大丈夫?」みたいな感じが多かったですね。「あいつは会社を辞 めて農家になる」という受け取り方をされました。ただ、周りの反応はあまり気にしないようにしてましたね。米作りを始めて退職。そのまま勢いで田んぼを借りている匝瑳市に移住をしました。
きうら いきなり大きく方向転換しましたね!
クマガエ 当時住んでいた東京の物件の家賃は高くて無職のまま払い続けることが難しい。田舎の空き家なら安くなるだろうと、退去を決めました。ところが、いい空き家が見つからない。「どうしよう!(笑)」ってなっていた時に、先に移住していた方が「とりあえずうちに来たら」と言ってくれて。大きな古民家に間借りするという形で匝瑳市での暮らしをスタートさせました。
実際に暮らしてわかったこと
きうら ひと安心でしたね。
クマガエ でも結局、匝瑳市には1ヶ月半くらい暮らしただけでした。妻が体調を崩したり、都会では当たり前にあったカフェにすぐに行けない環境だったり、田舎での古民家暮らしが自分たちに合わないということがよくわかりました。
今は都会と田舎の中間地点に移住しなおして、賃貸アパートに暮らしています。都心にも1時間くらいで行けて、田んぼへのアクセスも良い。そのバランスが気に入っています。
田舎で空き家を探すのは大変ということは、知ってもらいたくて漫画に描いています。東京での家探しの感覚でいくと、すごくギャップを感じると思います。普通の物件だったら前の入居者の荷物が置いてあるなんてことはあり得ないですが、田舎の空き家では荷物が置きっぱなしということは珍しくないです。何かしらの補修も必須ですし。
自分がどういう暮らしをしたいのか、家に何を求めるのか。そこをはっきりさせた上で探すほうがいいと思います。その辺りが漫画でコミカルに伝わればいいなと。
きうら 働き方、暮らし方をいきなり変えたわけですが、後悔したというようなことはなかったのでしょうか?
クマガエ 「会社を辞めて田舎へ来たこと」自体については、迷いもなかったですし後悔も全くありませんでした。 ただ「編集者としての仕事から逃げただけじゃないか」ということについては、実際に頭をよぎることがありました。僕が会社を辞めたあと、同僚だった編集者がヒット作を出している姿を見ると、「挫けず続けたら自分もああなれたのかも?」と考えたりもしました。
最初のうちは「社会的成功」みたいなものに、少しだけ未練があったといいますか。 でも、田んぼをやっていることが心の支えになっていて、そこまで深刻に考えることはなかったです。
自然のサイクルに身を置く安心感
きうら 田んぼが心の支えに?
クマガエ 会社にいた頃は、食べ物を買うお金をもらうために会社に依存していました。それが、田んぼで稲を育てることで直に米を得られるようになった。その自信と安心感がすごく大きいです。もちろん会社はちゃんとした組織でしたけれど、結局は個人よりも会社が優先というか。僕が辞めても代わりの人はいるし、いつ倒産するか はわからない。そう思うと会社がすごく不安定な存在に思えてきました。
一方、田んぼでは田植えをして、稲がどんどん育って、収穫をして、冬が来て、また 田植えの季節が巡ってくる。そういう、二千年近くこの国で続いてきた人と自然のサイクルの中に身を置くっていう安心感がすごくあります。去年は、1.1反(約1100平方 メートル)の田んぼを妻と友人と世話して、400キロを超える米を収穫しました。
畦で大豆を作って味噌も作っているので、「貯金が減ったとしても米と味噌があれば 飢え死にはしないだろう」って。田んぼを6年続けているので、周りの農家さんと友だちになって、余っている野菜を安く買わせてもらうことも増えてきました。こうなると食費は本当に少なくて済みます。
もう会社にいたときのような競争の世界には戻れないなぁと思っていたのですが、漫画の連載が決まって「安心な世界」を多くの人に知ってもらうために、競争の世界に片足を突っ込むことになりました。少し矛盾した状態にはなっていますね(笑)
一番伝えたいのは「選べる」ということ
きうら クマガエさんご夫婦は、どっぷり田舎からほどほどの田舎に再移住して暮らしてみえる。そして農業だけをやるのではなく、フリーランス編集者と漫画原作者としての顔も持つ。今の時代、無理しすぎない、依存先を1つにしない生き方に興味を持つ方が多いかもしれないですね。
クマガエ これまでは毎日会社に通うのが普通でしたが、リモートで仕事ができるとわかった今、だったらストレスの多い都会にいなくてもいいんじゃないかと考え始めている人は結構多いと思います。
僕が会社員の頃にしんどかったのは、「選べない」ということでした。お金を稼ぐためには会社にいるしかない。会社に通うためには高い家賃を払って都会にいるしかない。高い家賃を払うために会社で働くしかない。「やるしかないループ」にぐるぐるはまり続けていました。
それが田んぼを始めて移住するという選択があるとわかって 実行に移した時に、人生が広がった感覚がありました。
都会だけ、田舎だけではなく、その間にはグラデーションのある暮らし方、働き方があって「選べる」。具体的に動いてみる時の参考に「漫画編集者が会社を辞めて田舎暮らしをしたら異世界だった件」を読んでもらえたらなぁと思います。
縁側の記事を拝見していたら、豊田市では山村地域から街までの距離がそんなに離れていないと書いてありました。無限の選択肢があるという意味でポテンシャルの高い場所ですね!
きうら はい、縁側でインタビューをしてきて、そう感じています。最後になりますが、田舎を「異世界」と表現しているのはなぜでしょうか。
クマガエ 例えば、僕が都会にいた頃は消費者としてひたすらお金で何かを買って生活していましたが、今は米を作ったり、味噌を作ったり、暮らしの中に「作る」が当たり前な世界に生きている。この「作る」暮らしは、ひたすら「買う」暮らしをしている都会の人からしたら「こんな世界あったのか!?」という異世界だと思うんです ね。
異世界に来てみると、これまで気にならなかったことが気になってきます。例えば味噌。自分で作れば大豆と米麹とお塩があればできるのに、世の中に流通している味噌の中には、それ以外のものが入っているものがあるな…とか。 新しい視点で物事を見ることができるようになる。そんな異世界の魅力も漫画の中で 描いていく予定にしているので、ご期待いただけたらと思っています。
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きうらゆか
44,404 views1979年生まれ。2014年、夫のUターンに伴って豊田市山村地域・旭地区に移り住む。女性の山里暮らしを紹介した冊子「里co」ライター、おいでん・さんそんセン...
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