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【後継者募集】秘密基地でみんなと働き、自分の人生に責任を持つ力を育む場/さくら村

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旭地区、東萩平町にある森のなか。桜の木に支えられた建設中のツリーハウス、丸太の滑り台、大きな木の枝にかかったブランコ、40メートルのロープスライダーなど、子どもはもちろん、大人だって童心に帰って1日中遊びたくなるような場所があります。

ツリーハウスをメインで建てているのは、愛・地球博記念公園(愛知県長久手市)にある『サツキとメイの家』の棟梁・中村武司氏。このツリーハウスも、今回募集する後継者に活用してもらう予定。

ここは、さくら村と呼ばれる子どもたちの秘密基地。旭地区東萩平町で生まれ育った安藤征夫さんが、ご自身の裏山を開放しています。

「さくら村の目的は、ただ遊ぶことじゃない。親も子も、生きる力を育むこと

そう念押しする安藤さんは、このさくら村で2014年から毎年「ガキ大将養成講座」を主催しています。参加は会員制。募集開始からわずか30分で、40家族という定員が埋まるほどの人気ぶりです。会員は年会費18,000円を支払い、さくら村での活動に参加します。

火起こし、道具の使い方、薪割りをして小遣い稼ぎ、ツリークライミング、登山、草木染めなど年間を通してさまざまな体験をすることができます。スキルを持った講師が来る講座もあり、ボランティアスタッフが参加者をサポートします。

安藤さんが子どもたちに最初に教えるのが「自己責任」という考え方。子どもたちはこの言葉を胸に活動し、1年後には、例えば「思いを伝えるのが苦手」などの課題を克服して大きく成長します。

 

今回募集するのは、2023年度からこの場所を学びの場として活用していくさくら村の後継者。安藤さんの想いに共感し、「人を育てること」に本気で向き合うことのできる人や団体を求めています。


さくら村の展望デッキ

田舎の価値を知るガキ大将を育てたい

 

安藤さんが自分の裏山を切り開き、さくら村を作ることになったのには3つの理由がありました。

一つ目は、移住者を増やすため。安藤さんの暮らす旭地区は山村地域にあり、高齢化、人口減少が進んでいます。田舎に1度も来たことがないような人が移住するわけがない。まずは、田舎の自然、人を知ってもらう機会を作ろうと考えました。

 

「移住しないなら、ガキ大将養成講座に参加した子どもは20年後、まちで暮らしているよね。自然の中で仲間と学んだ経験があれば、税金を投じてでも田舎を守っていこうという発言をきっとしてくれる。そういう子を育てる狙いもあります」

 

二つ目は、2014年2月に子どもが子どもを殺してしまった「川崎中1殺人事件」に胸を痛めたこと。

 

「子どもどうしで関わりながら、自ら主体的に行動できる子ども。ガキ大将を育てればいいんじゃないかと考えました」

 

三つ目は、友人の息子さんからの声かけでした。

 

「2012年のある日、僕のところに遊びに来て「裏山に秘密基地があるといいな」と言って、「そうだね」と答えた。翌年また来て、「安藤さん、去年の話どうなった?」と聞かれて(笑)大人の責任を果たすことにしました」

 

当時、地元の建設会社に正社員として勤務する傍ら、ガキ大将養成講座の開始に向けた情報収集を始めたそう。

 

「講座では、1年間で子どもたちの課題を解決に導くことを目的に据えました。各地の森のようちえんや、長野県下伊那郡泰阜村のグリーンウッド自然体験センターなどをインターネットで調べて、どうやって講座を組み立ていったらいいか考えました」

 

子どもたちの生きる力を信じ切る

 

教育に関わってきたわけでもない安藤さんが、自分の裏山を切り開いて、場所づくりと講座開催。不安はなかったのでしょうか?

 

「全然なかった。やってダメなら仕方ないという性格」

 

土木建設の資格を持つ安藤さんは、その技術を生かして裏山を開拓整備しました。どんな遊具を設置するかは、岐阜県郡上市のウッドアドベンチャーや、愛知県新城市のフォレストアドベンチャーなど森林を生かしたアスレチック施設を参考にしたといいます。そのほとんどを、安藤さんや大人ではなく、子どもたちが中心となって作ってきました。

 

子どもたちは、何でもできる。インパクトドライバー、ノコギリやナタも使える。さくら村では、子どもたちができることはやる。できない場合は、親と一緒にやる。子どもたちができない場合は親がやる。この順番は変えません」

 

普段の生活のなかでは「まだ子供には危ないから」と親が口出ししてしまいそうなことも、さくら村では全てやらせる。

「人生って自分で決めることの連続だよね。自分の行動に責任を持たなければ、生きる力は身につかない。こども園に通う年齢の子でも、『安藤さ〜ん、自己責任だよね〜』と言いながらツリーハウスに登ります。それを親が口出ししてやらせなければ、何が危険なのかわからない。自分の身は自分で守るという気構えがあれば、事故は防げるし、未然に防ぐための方法を考えられる子が育ちます」

 

「自己責任だから、転んだ子は放って見ていればいいというのは違います。助けない子は、転んだ子から嫌われる。良い人間関係が作れなくなります。自分の行動がどういう結果につながるか、そこも自己責任だよと教えています」

 

通常、野外でのイベント開催の際に主催者が加入するイベント保険。安藤さんは、ガキ大将養成講座を始めて5年の間は、加入していませんでした。

 

「保険に入っているとわかると、参加者が安心しちゃうでしょ。保険に入っても、事故がなくなるわけじゃない。もしも事故があったら僕が責任とって支払うからと言い続けてきました。これまでやってきて、病院に行くような怪我をした子は2人。本人と親から夜電話があって『私たちのせいでイベントが一時中断してすみませんでした』と謝られました」

 

いざという時、保険に加入していれば、心理的にも金銭的にも安藤さんの負担が軽減されるでしょう。しかし何より大切なのは、子どもたちが自分の行動に責任を持てるようになること。加入しないという意志に、安藤さんの覚悟が感じられます。

 

実際、ここ2年は「わくわく事業」という豊田市の助成金制度の支援を受けていて、その審査の関係で、渋々保険に加入しているということですが、自己責任が大切だという安藤さんの気持ちは少しも揺らいでいません。

 

ひとりひとりに寄り添い成長を待つ

 

「基本的に、さくら村での活動日の10時から15時のうち、自由時間は1時間だけ。あとは、僕の指示を聞いて働いてもらいます」

遊具に防腐剤を塗ったり、駐車場を広げたり、自分たちが管理することで愛着を育んでいます。1年間の活動を終えた時、子どもたちと親が困っていることを乗り越える。それを実現することも、安藤さんはとても重視しています。

 

「学校に行けない、自分の思いが伝えられない、といった子どもの特徴を4月から7月のあいだに把握して、8月から翌年の3月までに少しでも改善できるようにやっていきます。例えば遊具を作る時、思いを伝えるのが苦手な子に『君は何が作りたい?』と聞いて発言の機会を作る。ひとりで遊んでいる子には『あの子と遊ぶといいかもしれん』、周りの子に『あの子と遊んであげて〜』と声をかける。なるべく子どもたちの目線に合わせてね」

 

 

印象に残っている女の子がいると安藤さん。

 

「当時、小学4年生。ガキ大将の講座として1泊2日で西穂高岳に登りに行きました。帰ってきたら、思いが伝えられなくて、友だちもいなかったその子が、お母さんに『今日、こんなことがあってね』と伝えたそうです。それから学校でも手をあげて発言するようになったということで、涙が出るくらいうれしかったとお母さんから手紙をもらいました

 

その後、進学する中学を自分で選び、今年度再び会員になったそうです。

「また登山に行きますって。彼女は本当に変わりました」

 

さくら村の管理と下準備

 

さくら村を運営していくことになれば、活動日を迎えるための準備を欠かすことはできません。ガキ大将養成講座の活動日は、年間30回、それとは別に2022年9月に完成を目指して建設中のツリーハウス作業日が年間24回あります。

 

「活動日の前日に草刈り、道路の整備、竹の伐採、ミツバチの巣箱の手入れなどを行って準備します。老人福祉センターの送迎バスの運転手をやっているので、朝と夕方の仕事の合間にね」

「例えば梅雨シーズンは、さくら村に上がってくる道がぐちゃぐちゃになるから、砂利を敷きます」

 

会員に手紙を送ることも、重要な裏方仕事です。

 

「会員、スタッフ、その他関係者宛に1回で60通出しています。年間で15〜20回出しているので、年間の切手代が年間10万円くらいかかるんですよ」

 

2022年度の最初の手紙には、活動期間や現地までの交通、持ち物や服装など基本的な情報に加えて、ガキ大将養成講座の目的、自己責任のことが丁寧に説明されています。

 

人気なのは需要がある証拠

 

会員、スタッフ、ツリーハウスの設計者、建築を手伝う学生、視察に来る個人や団体、地域住民など、年間およそ1800人がさくら村を訪れます。2021年度までの8年間で、約14,400人。たくさんの人と共に作り上げてきたさくら村を、後継者に託すことにしたのは、なぜでしょう。

 

「来年70歳になるんで。男性の平均寿命81歳まで生きるとしてあと11年。そのうち動けるのは5年くらい。行動できるうちに、まっとうな人や団体で譲っておかないと。やめることは簡単にできるけど、もったいないし。募集開始30分でいっぱいになるほど人気があるというのは、需要があるということ

 

「小仕事としてやれると思うよ。例えば1家族の会費を2万円として40家族募集すると、80万円集まる。遊具とツリーハウスの維持費、田植え、稲刈り、薪割りなど全員が参加する講座の費用に30万円かけて、登山やツリークライミングなど任意の講座には実費で参加してもらえば、あと50万円余る。月4万円くらいの収入になります」

 

さくら村を引き継ぎたいという方は、2022年度のガキ大将養成講座の実施日と準備の日に安藤さんと共に活動し、雰囲気をつかんでもらうことになります。

 

「こんなはずじゃなかった、ということを避けるため、どういう活動や作業があるのかを把握してもらう必要があるからね」

 

無料で借りるのか、もしくは有料で借りるのかについては、実際に会って応募者の希望を聞き、話をした上で決めることになるそうです。ただし、売却の可能性については低いということ。

「山の土地には必ず誰か所有者がいます。さくら村を買っても、そこまでの道は地域の人や、近くのお宮の所有する土地です。僕は地域住民で、これまでの交渉もあるから通れているけれど、地域住民以外の個人・団体が利益のためにというのは難しいと思う」

 

どんな人に来てもらいたいか改めて聞いてみると、

「遊びじゃなく、人を育てるために自分の時間を投資したい人」と安藤さん。

子どもの頃の安藤さんは、みんなを引き連れて刀で斬り合う真似をしたり、木登りをしたり、まさにガキ大将だった。よく覚えているのが、一人で山道を歩いていて真っ暗になってしまったこと。

 

「この道どこまで続くのかなって行きたくなっちゃう。懐中電灯もないのに、無事に帰れたんだよね。道はどこかに通じている。もし行き止まりだったら、戻って違う道を行けばいい。思えば自分の人生もそうやってきた」

 

安藤さんがさくら村を開拓し、ガキ大将養成講座を続けてこられたのは、まさに自分が選んだ道がどこかに通じていると信じ続けたからではないでしょうか。自分を信じ、相手の生きる力を信じる場所、さくら村。

 

ここを引き継いでいくのが、わたしの行く道かもしれないと直感した方からのご連絡をお待ちしています。

 

 

 

 

さくら村後継者 募集要項

 

運営開始時期 2023年4月 ※応相談

運営管理の対象 さくら村、ツリーハウス 
※現在整備中の「大人のための第2秘密基地」は対象外

応募締切 2022年7月31日(日)

現地研修予定日(2022年度ガキ大将養成講座活動日) 

2022年5月28日(土)、29日(日)、6月12日(日)、26日(日)、7月10日(日)、18日(月・祝)、8月14日(日)、19日(金)〜20日(日)、9月10日(土)、25日(日)、10月2日(日)、29日(土)、11月3日(木・祝)、26日(土)、12月3日(土)〜4日(日)、18日(日)、1〜3月の活動日は順次決定。毎月第4土曜日曜は、ツリーハウスづくり作業日 ※準備の日については別途連絡

採用決定時期 2023年2月頃 ※応募者の事情により前後する可能性あり

採用人数 1人または1団体

ご応募・お問合せ 下記ボタンをクリックし、フォームへ入力して送信。または、090-4790-9364(安藤征夫さん携帯)にお電話ください。

 

問い合わせ・応募する

 

 

きうらゆか

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1979年生まれ。とよたとつながるローカルメディア縁側編集長。おいでん・さんそんセンターコーディネートスタッフ。2014年、名古屋市から豊田市旭地区に拠点を...

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撮影 永田 ゆか

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静岡県静岡市生まれ。 1997年から長久手市にあるフォトスタジオで11年間務める。 2008年フリーランスとして豊田市へ住まいを移す。 “貴方のおかげで私が...

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