• HOME
  • 記事
  • コラム
  • パパ、育児のため会社を1年休みます!|第6話 育休は、私にとって人生の学び直し研修

パパ、育児のため会社を1年休みます!|第6話 育休は、私にとって人生の学び直し研修

コラム

こんにちは!

前回の第5話目のコラムでは6年ぶりに取得した2回目の1年育休について書きました。

是非チェックしてみてください!

今回は最終コラムということで、2回の育休取得や3人の子どもの育児を通じて気づいたことや実感していることについて書きたいと思います。子育て生活も人生もまだまだこれからなところですが、私なりの経験を言葉にして伝えられればと思います。

【続】1年間の育休

 

赤ちゃんが生まれ、育休に入り早くも3か月が過ぎました。

前回のように育休が3か月だったとしたら、もうこれで職場復帰。なんと寂しいことでしょう。

 

赤ちゃんはあっという間に体重が2倍になり、ハムような手足、マシュマロのようなほっぺと、ついつい食べちゃいたくなるようなムチムチな体になってきました。多めに買ったSサイズ・2袋のおむつは使えなくなったのでメルカリに出品することになり成長の早さを実感します。顔をのぞきこむと少しずつ笑顔が見られるようになってきたり、「あぁ~うぅ~」と何かを訴えるように声を出したりするようにもなってきて、親も子どもたちもそれはもうメロメロです。

5人家族で迎える初めての年末年始。

私の発熱から家族全員が寝込み、大掃除もできず(やらず)、貰ったお年玉をどれだけ貯金させるかを夫婦でもめて、祖父母が持ってきてくれた人生ゲームで大喧嘩し、長男は取れもしないクレーンゲームで数千円使い、長女は最終日まで終わらない冬休みの宿題を泣きながらやるという、なんとも騒がしい日々を送りました。

できるだけ一緒にいたいなと思っていながらも、毎日ずっと一緒にいたらいたでイライラして小言も増えてきて、幼稚園と小学校が早く始まらないかなと思えてきてしまいます。なんとか心を乱されず良いバランスで過ごしたいものです。

あっ、そうです。育休開始から2か月遅れで待ちに待った出生時育児休業給付金も入ってきました。と同時に普通徴収(年額を4回に分けて支払う)に変わった住民税も支払いました。お金が入る、出るタイミングの注意は必要ですね。

ほんとうにあっという間の3か月でした。

コラムは今回の第6話で終わりますが、1年間の育休生活はまだまだこれからです。

これから赤ちゃんは寝返りしたり、歩いたり、離乳食が始まったりしてきます。
そんなできごとを家族で共有していけることがとても楽しみです。

冬休み、床暖とカーペットで温まる子どもたち

 

平凡な毎日

 

2回の育休を経て気づいたことは、育休は平凡だということです。

色々と書いてきましたが、改めて振り返ると「何を当たり前のことばかり書いているんだ」と自分でも思ってしまうことばかりです。

育休生活でのできごとはどれもかけがえのないものですが、刺激はまったくと言っていいほどありません。日本中、世界中に溢れている平凡な暮らしの毎日がそこにはあるだけです。きっと1年間の育休を終えても、その後も育児は続くので、達成感なんてものもないのでしょう。(唯一、このコラムで育休生活を振り返り言語化することでちょっとした充実感は味わえています)

しかし、その何の変哲もない平凡な毎日のなかにこそ幸せがあります。

他人と比べて頑張って手にしたものとは違い、身近にあるちょっとした小さな幸せです。

この平凡な時間を家族と共有することは、より良い家族をつくることにも繋がると思います。

この小さな幸せを実感しながら、周囲に感謝して、いまを一生懸命に前向きに生きていけたらどれだけ幸せなことでしょう。

 

アンフェアさに寛容に

 

夫婦生活において切っても切れない様々なアンフェアな部分の問題。

母親は妊娠中、身体の自由を奪われ、滅茶苦茶痛い思いをして子どもを産み、寝不足の中おっぱいをあげます。

育休や時短勤務で思ったように仕事ができなかったり、それに伴って家事育児の負担が増えたりと、挙げればきりがないほど大変なことがあると思います。

父親は、収入で家を支えるという役割がいまだ残っており、それに伴う様々な苦労やプレッシャーがあるのではないでしょうか。

家のことをやってもスポット的でしか関われないのでずっと慣れずに苦労することもあると思います。昨今では仕事を頑張っても「仕事ばっかりしてんじゃないわよ」と思われる節もあるかもしれません。

わが家は、完全母乳で育てていることもあり、ママは寝不足のなか授乳で大変だけれど、すぐに泣き止ませることができます。赤ちゃんと深く関われていて、パパとしては少しだけうらやましいと感じることもあります。

逆にママは、育休を当たり前にとれる環境にいる反面、パパのように育休を取っただけで、周りにすごい!と褒められることはなく、パパはずるいなぁと思うこともあるようです。

こういったアンフェアさにモヤモヤを抱え、衝突することもありますが、お互い家族のために一生懸命頑張っていることには変わりありません。

大事なことはこのお互いの違いに寛容になり、前進していくことだと思います。

その為にはそこにある背景をとらえる必要があると感じています。

つい日々のできごとを点でとらえてしまいがちですが、その背景には関わっている環境や文化的なこと、過去に起きたこと、未来への不安なども影響していると思います。気分や空気感といったことも考える必要があるかもしれません。

ほんの一例ですがママの場合、年単位で職場を離れ、将来に渡る経済的な不安などがあり、パパの場合、当たり前とは程遠い男性育児に対する外圧などがあるでしょう。

こういった「表面化しているアンフェアさ」と「目には視えない背景」を点ではなく線でとらえることにより、モヤモヤに対してどう向き合うかが見えてきて、よりよい家族の時間を過ごすためにはどうしたら良いかを考えることができると私は思っています。

 

人生の学び直し研修

 

私のなかで育休は「家族とは、仕事とは、社会とは」を考えるとても貴重な経験となり、まさに人生の学び直し研修のようなものです。

 

育休を取って職場を長期間離れ、家族のことに専念したからこそ心境や行動の変化が起こりました。育休を取らなくてもこういった変化が起こり成長していける人もいると思いますが、私の場合は育休に育てられたという実感があり、私には合っていたのでしょう。育休に感謝です。

 

・優先したいことを迷いながらも、ぴったりなタイミングで優先することができたこと。

・会社中心に構築していた人生でしたが、社会を軸とした人生を考えられるようになったこと。(会社の繋がりが一気に切られる退職への予行練習にもなったのでは)

・不安や葛藤がありながらも今はまだ当たり前ではない男性育休という環境に飛び込めたこと。

 

こういったことは今後の人生においてプラスに働くのではないでしょうか。(もちろん会社生活においても)

研修はきっかけに過ぎません。

子どもたちの人生も、パパママの人生もまだまだこれからです。

今回の経験を前向きな力にして人生を歩んでいければと思います。

 

子どもは育休をどう思っているのだろう

 

子どもと会話していると予想だにしない答えが返ってくることがあり、これが子育ての面白い所です。

この育休を子どもはどう思っているのだろう?

素朴な疑問を子どもにぶつけてみました。

「パパとママは仕事も大切で好きだけど、〇〇ちゃん達との時間を大切にしたいと
思ったからいま休んでいるんだ。どう思う?」

そんなことをストレートに子どもに伝えてみました。

すると子どもは「へぇー。っていうかパパとママだけ仕事を休んでズルい。私だけ宿題あるし」との返答でした。
育休について色々と書いてきましたが、子どもからするとただパパとママが休んだだけの話らしいです。

確かにその通りだよなーと関心して「うんうん」と頷きましたが、

パパとママと一緒にいれて楽しい!くらい言ってくれるのかと期待していたので、なんとも複雑な心境です。もう少し大きくなったらリベンジしたいと思います。

とはいえ働いていた時には「仕事行かないで」と頻繁に言われており、休んでからは「仕事に行って」と言われないので、それを答えとしておきましょう(なんとポジティブ思考なことでしょう)。

結局のところ子どもや家族の笑顔が見たい自分のためという側面が大きいんだよなーということを認識することができました。

 

育休を迷っている男性へ

 

もし育休取得に迷っているのであれば思い切って取得することを私はお勧めします。

様々な不安や葛藤はあるなかで育休を選択するということは、後悔のない人生に近づくための大きな一歩になるのではないでしょうか。そのチャンスが会社員には誰にでもあります。

定年を迎える際や、死ぬ間際を思い浮かべた時、「もっと仕事をやっておけば」とはきっと思わないけれど「もっと身近な人を大切にしておけば」とはきっと思うはずです。

もしかしたら悩んでいる人のなかには会社や職場へのうしろめたさのようなものを感じている人もいるかもしれません。私自身「育休は権利だから」と割り切ることができていないところはありますが、感謝の気持ちを持ってその分頑張ろうと思っています。

2回の育休を経験しましたが、育休取得が正解だったかどうかはわかりません。しかし、悩みや葛藤があるなかで自分が優先したいことを選択したことで後悔のない人生に近づいたという自信はあります。

きっと自分らしい生き方を思い切って選ぶことが大切なんだと思います。

 

さいごに

 

このコラムのタイトル「パパ、育児のため会社を1年休みます」について。

最近では少しずつ男性育休の声も聞こえるようになってきて、「育休は○○だ」といったいわば少し現実を誇張したタイトルの本や記事を目にすることも増えました。そう言い切れればキャッチ―なんでしょうが、そうも言えないのが実際に経験した人間の本音です。

だったら「パパが育休を取って会社を1年休んだ」という事実のみをタイトルにして
読んでくれた人がそこからどう感じてもらえるか、考えてもらえるか、そんなコラムにしたいと思ってこのタイトルにしました。

私のなりの経験をなんとか言葉にしましたが、育休・育児のすべてを言葉で語ることは難しいことだと思います。きっと1/10も伝わっていないのではないでしょうか。雰囲気くらいは伝わっていると嬉しいです。

そしてこれはどんなことにも言えることかもしれませんが、言葉にしていることや目に見えていることがすべてではありませんし、言葉にも目にも見えないことも多くあると思います。育休の取得有無に限らず、そういったことを誰もが抱えながら生きているのではないでしょうか。

改めて念を押して言いますが、育休を取らないという選択も良いと思います、専業主婦(夫)と仕事で役割を分担する家族も良いでしょう。子どもがいてもいなくても、結婚でも独身でも、それ以外でも。

大切なのはお互いに色々な人生があることを認め合って、目に見えないことや言葉に思いを馳せ、感謝して、前向きに生きることだと思います。

コラム第1話でも書きましたが、育休取ったから偉いというつもりは一切ありません。

「こんな家族のかたち、人生もあるんだなー」と何かを感じて貰えると嬉しいです。

とは言いつつ、育休の嬉しさを実感している身ですので

男性育休が当たり前に認められる世の中となり、大変ながらも素直に幸せを感じられる子育てができる人が増える事を願っています。

 

感謝

 

こんなコラムを書けたのも、私がいま小さな幸せを感じながら前向きに生きていけているのも、妻や子どもたちがいたからなので、家族には感謝です。ありがとう。そしてこれからもよろしくお願いします。

家族・子どもが増えるということは自分の人生が一つ増えるようなものではないでしょうか。もちろん子どもの人生を自分のものにするつもりはありませんが、必要なときに少しだけ寄り添っていけたらと思っています。

このコラム掲載の機会をいただけた「とよたでつながるローカルメディア縁側」編集長のきうらゆかさんにもこの場を借りて御礼を言いたいと思います。

自信ありげにこのコラムを書いていますが、育休が始まって3か月過ぎた今でも不安だらけで「辻さんの経験を是非伝えたい!」とお話をいただいたときは救われた気分でした。こんな経験でも誰かの役に立つんだと前向きになることができました。貴重な機会をほんとうにありがとうございました。

そしてこのコラムを読んでくださっているみなさん。どうもありがとうございました。

このコラムが育休や人生観を押し付けるものではなく、みなさんが前向きに生きるきっかけとなることを願っています。

 

辻 竜也

4,131 views

1988年生まれ、福岡県出身。15才で愛知県豊田市へ移住。製造業会社員として働く三児の父。2021年、子どもと参加した農体験で里山の魅力と課題を実感した経験...

プロフィール

ピックアップ記事

関連記事一覧

  1. この記事へのコメントはありません。

CAPTCHA