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必ず復活すると信じ、取り組んでいく【いなかとまちの交換日記withコロナ#2】

コラム

「いなかとまちの交換日記withコロナ」では、豊田市のいなか、まち、それぞれに住む方にペアになってもらい、

コロナウィルスと共にある日々のことについて、課題、新たな気付き、心の動きなどを書き綴ってもらっています。

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今日の書き手

泉澤博安(いずみさわ・ひろやす)稲武地区で料理旅館の長男として生まれる。株式会社ホテル岡田屋代表取締役。愛知県温泉協会理事。豊田市食品衛生協会理事。昭和59年株式会社法人設立、ホテル岡田屋新設。平成3年に増設。平成20年に代表取締役社長に就任し、現在に至る。


稲熊さんからの交換日記はこちら↓

 

 

有限会社長生軒 豊田プレステージホテル

稲熊真佐子様

 

拝啓 日中は、汗ばむほどの暖かさになりました。夜は、かえるの鳴き声が煩わしいほどです。

大変ご無沙汰しております。いつぞやは、娘さんとのご来館、ありがとうございました。懐かしい稲熊さんからのお手紙、びっくりするやら、うれしいやら。年甲斐もなくときめきました。

 

稲熊さんのホテルと私どもの旅館とは、立地条件や形態が違いますが、同業者としてホテルの実情を切実に書いて下さり、いまだかつてない状況に、つくづく心痛いたします。

 

私どもの旅館も、2月、3月、4月、5月現在、そして、6月以降も、団体様、グループの方々、家族づれ、ほとんどキャンセルになりました。愛知県の緊急事態宣言が発出されてからは、宴会場とサロンの使用も自粛しています。経営への打撃は推して知るべしです。

 

稲武地区には、夏焼温泉があり、源泉を旅館まで引き込んでいます。私が、まだ小学生の頃は、町中に旅館が8軒程あり、各旅館も源泉を利用していました。時代は流れ、源泉近くの1軒と、私どもの旅館の2軒だけになりました。

当館は、かつては町の中にありましたが、昭和59年秋に、名倉川が見える現在の場所に、移転新築したものです。新築時は、お風呂が小さくて、特徴がなかったので、すぐに、男女共に総桧風呂を作りました。バブルの時代で、多くのお客様にご利用いただきました。そのお風呂も老朽化したため、改修のタイミングを測っていましたが、つい1週間前に、男性の浴場をリニューアルしました。木曽桧を使った浴槽は、香りと温泉で、気持ちいいですよ。

また、昨年のラグビーワールドカップを機にトイレを全部洋式にしました。まだまだ設備的には、変えたり、造ったりしたいんですが、資金がないですね。

現在、当館独自の企画ものは、「稲武カントリー宿泊パック」と、関谷醸造さんの「吟醸工房酒造り体験ツアー」、近くのグランドを借りての「グランドゴルフパック」を行っています。昨年は、多くのお客様にご利用いただきましたが、今年は、この有様です。遅くとも秋口からの復活を期待しているんですが、稲熊さんも仰るように、私も以前のような稼働には戻らないだろうと感じています。

 

コロナ後の宿泊産業は、新しい生活様式や人々の価値観の変化に対応した個々の事業所の工夫と努力、そして、豊田市の観光政策や各地区の観光協会の取り組みがより重要性を増すと考えています。正直言いますと、観光協会の役員を辞めてからは、対外的な情報が乏しく、自館の事だけを考える事が多くなっていました。

 

稲武地区は、岐阜、長野の県境ですので、近郊のお城、街道などの歴史、文化などの観光や地域の農業や暮らしを素材にした体験事業などに取り組んできました。最近では、古民家のリノベーションによる民泊やマウンテンバイクなどの野外スポーツと働き方、移住に着目した新たな取組みも生まれています。稲熊さんもご存じの「まゆっこクラブ」はじめ、古橋家の末裔である古橋真人君たちが、新しい感性をもって活躍しています。

 

道の駅「どんぐりの里いなぶ」もコロナ禍で大打撃を受けましたが、この施設のおかげで、地域の人たちが、手を組んで、稲武を盛り上げ、訪れる人達をもてなすことが、だんだん上手になって来たと思います。稲武地区の課題であった、海外からの訪問者の受け入れ体制づくりも、グローバルな人の動きも、必ず復活すると信じ、取り組んでいく必要があると思います。

都市と田舎の両方を備えるまち、「とかいなか」の豊田市は、withコロナ社会においてはこれまで以上に魅力のある都市に変貌できると確信しています。

最後に、早くワクチンの開発が進み、世界のコロナ禍が終息に向かうことを、これを機会に、都市と田舎の交流がますます深まることを心から願っています。共に、コロナ禍に負けずに、宿泊産業がますます発展するよう頑張りましょう。

敬具

 

令和2年5月24日

 

株式会社ホテル岡田屋

泉澤博安

 

 

縁側編集部

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