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激励のメールにうれしさ込み上げる【いなかとまちの交換日記withコロナ#2】

コラム

「いなかとまちの交換日記withコロナ」では、豊田市のいなか、まち、それぞれに住む方にペアになってもらい、

コロナウィルスと共にある日々のことについて、課題、新たな気付き、心の動きなどを書き綴ってもらっています。

詳しくはこちら


今日の書き手

稲熊真佐子(いなぐま・まさこ)豊田市で旅館業の長女として生まれる。
有限会社長生軒 豊田プレステージホテル代表取締役。愛知県ホテル旅館組合常任理事。
昭和55年大学卒業後に設立した法人の取締役となるも名ばかり、平成3年に旅館からホテルへ業態変更後に実質的な経営者となる。3年後の引退を目指し、事業承継中。

 


 

株式会社ホテル岡田屋
泉澤博安様

 

拝啓 薫風が心地よい季節になりました。大変ご無沙汰をしております。その後もお変わりなくお過ごしのことと存じます。

 

中心市街地の木々が、その種類で新緑の濃淡が目に鮮やかです。そちらは、こちらよりさらに、山々の新緑が美しいでしょうね。いつぞやは、娘と避暑に伺い、温泉に浸かり、美味しいお料理をいただいたことを覚えております。ゆっくりさせていただき、お世話になりました。

 

さてさて、招かざる客の突然の訪問で、私たちの業界は大変なことになっておりますが、泉澤様のお宿はいかがでしょうか。人が動いての生業であるのに、あのウィルスのお陰で人の動きは絶たれ、売上が大大激減しております。所用でいらっしゃるリピーターさんのご用命があり、週末やGW以外は細々と営業しております。中心市街地の宿泊施設は、平日はビジネス客中心ですが、テレワークが中心となり、軒並みキャンセル、また開催されるスポーツ大会やイベントはすべてキャンセルとなりました。いつもなら、こんなイベントがあるのになとか、イベントに合わせてご来館されるお客様のお顔を思い浮かべたり、なんとも寂しい気持ちに浸っております。

 

あの豊田市民のお祭りであるおいでんまつりも、オリンピックの警備の影響で9月に延期になり、ついには中止になりました。日本屈指の位置付けになった花火大会へは、毎年多くのお客様が楽しみいらっしゃいます。昨年のお祭り終了後、すでにご予約をいただいたお客様へ、9月に変更したためスライドし、そしてキャンセルとなり、スタッフがお客様にメールやお電話でお知らせや確認をしておりました。そのような中、スタッフから見てほしいと呼ばれ、お客様からのメールを見せられました。

 

「こんな時に、ホテルさんも大変だと思いますが、頑張ってくださいね」
「来年は絶対に行きますね!」
「スタッフの皆さん、お体に気をつけてくださいね」
と、激励の返信をいただきました。

 

こちらが、お客様に気を配るべきなのに、逆に励ましていただき、嬉しさで一杯になりました。このような言葉に触れたときが、ホテルを営業していてよかった、また頑張ろうと思う瞬間です。

 

 中心市街地で開催されるイベントでの賑わいは今後もあるにしろ、ビジネスのお客様は、今盛んに行われているテレワークで、働き方が人の移動なく行われる割合が増えることが予想され、以前のような稼動には戻らないのではないかと感じています。

 

 今後、豊田市は今以上に観光に注視し、市外や県外に売り込む必要があると思いますが、泉澤様はそのあたりどのようにお考えでしょうか。最近、稲武地区の観光も少し変化があるようにも伺っております。今、近所にある豊田市近代の産業とくらし発見館(以下発見館)で、「まゆまつり2020〜稲武の養蚕〜」と題した企画展示があり、今日5月19日に見て来ました。

明治15年(1882年)から伊勢神宮への神御衣奉献が復活したり、平成とこの令和の大嘗祭に絹織物を調進されたと聞きました。先人の古橋氏の功績を古橋氏のご親族や地元の「まゆっこクラブ」の皆さんが受け継がれ、後世に伝える活動を見て、素晴らしいと思いました。

 

 

下町の挙母地区にも加茂蚕糸という工場があり、街中に蚕問屋もありました。子どもの頃、その問屋さんの前を通ると独特な匂いがし、木戸の隙間から蚕架(さんか)【蚕を飼うために蚕箔(さんぱく)と呼ばれる容器をのせる棚】を不思議に思い、興味津々に覗いた記憶があります。

 

発見館は以前、蚕の取引所だったようです。学芸員さんのお話では、稲武地区の繭は挙母地区には来ず、豊橋方面に出荷されていたようです。当時のつながりはないにしても、稲武地区と繭つながりというご縁を感じました。長い日本の歴史の一助となっている当地に全国からお客様が蚕を観にいらっしゃるといいな、なんて思います。この歴史的文化を海外からのお客様にも伝えたいですね。

 

新型コロナウィルスはなくなりはしないような気がします。afterコロナもwithコロナになるような気がしますが、これを機会に新しい未来も切り開いていく必要もあるでしょうね。共に自愛しつつ、宿泊産業に貢献していきましょう。

 

敬具

令和2年5月19日

有限会社長生軒
豊田プレステージホテル

稲熊真佐子

 

泉澤さんからの交換日記はこちら↓

縁側編集部

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