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「森のたまご」誕生ストーリー【森のちいさなようちえんで育つ おおきなかぞく第1回】

コラム

 

みなさんはじめまして、「森のたまご」代表の遊佐美絵です。

 

野外保育とよた森のたまご(以下、森のたまご)は、松平地区のお山で、毎週火曜日~金曜日に、就学前の幼児に対して、 自然体験活動を機軸とした保育事業、森のようちえんを行っています。

大きな特徴は、園舎を持たず、子どもたちは自然の中で一日を過ごすこと。 大人も子どもも健やかな心と体を養う活動を目的としています。

 

これから6回、みなさんに森のたまごについて、お伝えしていこうと思います。

1回目は代表の遊佐美絵が、誕生ストーリーについてお伝えします。

 

遊佐美絵(ゆさ・みえ) 北海道夕張市出身。小・中・高と地元夕張で過ごす。高校卒業後アルバイトをしながら自分のやりたいことを探す。23歳でボランティアとして1年半アメリカで過ごす。帰国後お金を貯めるために豊田で働き、その後結婚し豊田市民になる。2010年から野外保育とよた森のたまごの代表として日々奮闘中。


 

森のようちえんとの出会い

 

2004年から結婚を機に豊田市で生活を始めました。周囲に友達はおらず、自分やわが子に友達ができればと、長女が2歳ぐらいの時に週1回のリトミックに通い始めました。 そこでは、先生と同じ動きをして室内を走り回り、季節ごとに工作をしました。

5月の鯉のぼり作りでは、先生のお手本通りにシールを貼らせるお母さん、貼る子どもの姿。お手本があり、みんなと同じというのが、私にはどこかしっくりこなくて、心から楽しめていませんでした。

 

そんな時、瀬戸市に住む知り合いが、自分の子が通っている森のようちえんの体験があるから遊びにおいで~と誘ってくれて、体験に申し込みました。毎日わが子と過ごす日々。予定もないし、遊べたらいいと参加しました。

しかし!そこで見たのは、野原を駆け回り、お花を摘む子、草をむしってる子、斜面を必死に登ろうとする子。その姿を見たときに、『これだ!就学前にこんな毎日をわが子にも過ごして欲しい!』と感じました。

なぜそう感じたのか・・・それは私の生まれ育った環境に関係があるかもしれません。

私は、自然豊かな北海道夕張市で5人兄妹の末っ子として生まれ育ちました。我が家は兼業農家で、休みの日には両親に連れられ山の畑で1日を過ごし、家族でおめかしをして出かけた思い出はほとんどありません。

私が保育園に通っている時、休み明けに先生が「お休みにどこか出かけた人~」と尋ねました。どこにも連れていってもらってないのに、気が付くと手を挙げていました。先生に当てられ 「海に行った!」と答えました。季節はなんと冬!嘘だというのはバレバレだったでしょう・・・。

中央の赤い服を着た子が幼い頃の私です

 

こんな幼少期、2歳はなれた姉と畑周辺の小川で魚を追いかけたり、花を摘んだり、泥んこを楽しんだり、花の蜜を吸ったり、山菜を採って晩御飯のおかずにしてもらったり。名前のない遊びをどれほどしたことか‥そんな自然のなかでたくさん過ごした経験があったから、わが子にも経験させたいと強く感じたのでしょう。

 

さて、瀬戸から家に帰り、豊田市に森のようちえんがないかネットで探しましたが、残念ながらありませんでした。

「だったら自分でつくろう!」と思いました。そんな時、検索で『おひさまおさんぽ』を見つけ、これは良さそうだなと感じました。『おひさまおさんぽ』は、2003年にスタートした野山で遊ぶ育児サークル。誰でも登録できて、親子で外遊びができる。「ここなら自然に興味のある人がいそう!」と思い、早速登録しました。メーリングリストで自己紹介を送信する時、後先考えずに「森のようちえんを作りたいと思っています!」と送信しました。

 

野外保育とよた森のたまごの立ち上げ

 

そこからは勢いに乗り、2010年、わが子が年長の時に、野外保育とよた森のたまごをスタートすることになりました!

その時私には年長の長女、年少の長男、そして1歳になった次男がいました。同じように赤ちゃんを連れて参加するお母さんたちと一緒に、森のたまごについてたくさんのことを決めていくことになりました。

私は、代表という立場でありながらも、保育のことは学んだこともなく完全な素人でした。

運営的なことも、何の知識もなく、背中に赤ちゃんをおんぶして寝かせながら、おっぱいをあげながら、全体で話し合いを重ねました。森のたまごで大切にしたい部分を、ゆっくりではあるけれど納得のいくものに創っていきました。

 

 

母が積極的に関わるやり方

 

母たちで立ち上げた森のたまごは、自主保育としてスタートしましたが、現在では保育に関わってくれる保育スタッフと保護者が協力して日々の保育と運営を行っています。

様々な形態の森のようちえんが存在する中、森のたまごでは、自主保育型の良さである「保護者が主体的に考え行動すること」、主催者型の良さである「保育の安定」を求め、共同保育・共同運営というスタイルを選択しています。

また、共同保育・共同運営を通して、「(大人)一人一人が自分らしく活躍し、母として、人として成長すること」

「大人同士の信頼関係を育むこと」を大切にしています。

 

森のたまごの基本理念は、以下の3点です。

自然の中で生活のつながりを感じる
子どもが五感を使い主体的に遊び、本来持っている好奇心や興味関心を十分に満たしながら育つために、幼少期における自然の中での原体験を大切にしています。

たっぷり遊び心を満たす
子ども達が、自然の営みの中で、子ども同士の関りや遊びの時間を大切にし、満足感や達成感を経験していくことを目的としています。

一人ひとりの育ちを楽しみまっすぐ向き合う
保護者が保育の経験を通して、その人らしく活躍し、子どもとのかかわりの中で成長し、大人も子どもも育ち合い自分らしく生きていくことを目指します。

 

森のようちえんでは、子どもの育ちと同じくらい、保護者の育ちも大切にしています。実際子どもは、いつでもどこでも友達がいれば楽しくなれる。でも母は忙しく、一生懸命な日々を楽しむ一方で、いい時ばかりではありません。子どもと(自分自身の中の葛藤とも)まっすぐ向き合う ことがなかなかできないときもあります。

一人の母として、いい大人が心を大きく揺さぶられるなんてことは、ここでなければ経験しないこと。大人になっても子どもの成長と共に母も成長するだろうし、子育て期に自分とは違う価値観の母みんなと共にいろんなことに気付く機会があることは、何にも変え難い深い意味があると思うのです。もちろん母だけでなく、父にとっても同様です。

 

一人一人の個性・エッセンスが自分をつくり、森のたまごを創っている。

 

小さな草にも大きな木にも一つ一つに役割がある。

私たちの生活に欠かせないものを小さな手で触れ、

いろんな気持ちをいっぱい感じ育ってほしい。

 

子ども同士の関り、時間を大切にし、

満足感や達成感をたくさん味わってほしい。

大人たちは少し口を閉じ、

子どもたちが何をどう選ぶのかそっと見守り、

必要な時には知恵のエッセンスを手渡す。

 

大人も子どもも育ち合い、自分らしく生きる・・・。

 

森のたまごにしかできない
手作りようちえんを創っていきたいと思っています。

次回からは、森のたまごでの具体的なできごとなどについてご紹介していきますので、どうぞお楽しみに!

 

 

 

代表 遊佐美絵

縁側編集部

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