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新しい場はどうやって生まれたの?空き家をリノベした「hibi」施工班が語る完成までの日々【後編】

レポート

>>前半/雑貨屋だった空き家でリノベーションスタートはコチラ<<

 

職人さん、地元業者の技術あっての工事

 

古橋 次の段階は解体工事です。建物全部を解体するときは重機でバリバリ壊してしまえるのですが、既存の建物を生かすということで、屈強なトルコ人の職人の方たちに腕力で解体してもらいました。これはおそらく昭和に増築したと思われる廊下、立っているだけで斜めだとわかるんですが、どんどん壊してもらっているところです。

 サブリさんという解体屋さんの親方と腕相撲をした時の写真です。両手でやってもあっさり負けました(笑)めちゃくちゃ強かったです。

古橋 ほとんど解体し終わると、骨組みだけという状態になりました。このタイミングでもし台風が来ていたら大変なことになっていたでしょうね。木が腐っていたとか、思っていた骨組みと違ったとか、ここで初めてわかることもたくさん出てきました。

 ここから基礎工事が始まりました。建物の荷重を地面に伝える柱が、束石(つかいし)という石の上に載っていて、その状態を残しながら補強となる基礎をつくっていきました。こんな感じで地面を掘った後は、遺跡の発掘現場のようでした。

普通の新築であれば、工場であらかじめ柱、梁をカットして現場で組むということもできるのですが、今回は現場合わせで建て方工事を行う必要があったため、建物に合わせてこの場で大工さんたちに柱、梁を削ってもらったりしました。本当にいろんなご無理をお願いしてお世話になりました。

 

古橋 この方は、大工の若杉さんという方で、稲武をとても気に入ってくれました。水平や垂直がどこにもないようなリノベ物件を、現場合わせで工事していくのって本当に大変だし時間がかかります。大工さんの腕が非常に重要になります。今回この若杉さんにやっていただけたことは、すごくありがたかったです。

 hibiは空間がすっきりとするように、あまり管や線が見えないような設計としました。稲武の地元の電気屋さんや水道屋さん、ガス屋さんに設備工事にご協力いただき、無事に実現することができました。地元の有限会社山田設備の山田純佑(じゅんすけ)さんが来てくださっています。山田さん、難しかった点ってどんなところでした?


山田純佑
 建物の作りとして天井の上がすぐ床になっていて水道管や排水管を走らせる空間がない。でも森さんがどうしても隠したいと言うんですよ。そんなイリュージョンのようなことは無理!と思いました(笑)それでも何度も話し合いを重ねて、随分隠せたかなと。正直大変でした。

 電気工事もガス工事も同様に、特殊な工事内容に地元業者の方々が丁寧にご対応してくださいました。ご協力いただきましてありがとうございます!

 

 

古材を活かし、みんなで汗をかいて進めた作業

 

松島 次は床に古材を敷いていく工事でした。友だちが見学に来ると、昔からある床だと勘違いするんですけど、実は裏手にあった建物を壊した時にレスキューした板を利用しています。みんなできれいに洗って施工しました。

薪ストーブは、自分たちで設置、煙突施工をしました。シェーカーというスタイルのストーブです。オリジナルはアメリカのもので、長野の松本市の職人さんが図面を元に復刻しているものをオーダーし、購入しました。

 タイルは常滑まで見に行きましたね。

松島 妻が絶対これがいい!と言うタイルを探してもらったらたまたま必要な数だけあって。貼ってみたらすごく雰囲気がいいです。

 続いては塗装工事を行いました。

古橋 去年の12月でした。これは、塗料メーカーの担当者の方に来ていただいてレクチャーを受けながら、塗装をみんなでやっているところです。今回は檜の構造用合板に塗装をかけるという形で内装を仕上げています。構造合板の上に下地を組んで石膏ボードを取り付け、その上にクロスを貼るのが一般的ですが、お金をかけない工夫として構造用合板を表に出しています。

松島 年が明けて、仕上げ工事に入りました。僕たちの住まいである3階はほとんど夫婦で施工しました。床板貼ったり、壁作ったり、天井の裏に断熱材入れたり、結構大変でしたね。幸いうちの妻はもともと家具職人なので、玄能(金づち)で釘を打つことや、タッカーを打つのも得意です。工事の時にはこういう人が何人もほしいですね(笑)

次は、いよいよ木工工作機械の設置です。

業者さんにお願いして前の家具工房から、全部の機械を1階に運び込みました。機械は重たいので何かあれば重大な事故にもなりかねないので大変でした。ヒーヒー言いながら並べて、終わった時にはアーーと脱力しました。

新しい工夫を凝らした家具

 

松島 hibiに設置する家具には、豊田市産の木材を所々に使っています。これは洗面の収納で、豊田市産の杉です。1級品ではない節の多いものを絹色という塗装で白っぽく仕上げています。取っ手は真鍮のものを使って少し高級感を足しました。キッチン収納は、豊田市産の天板にシナベニヤを合わせてみました。なかなか使われないような地域材でも、色々な工夫や組み合わせで商品価値の高いものにしたい。今までやりたかったことが形にできて満足しています。

1階の家具工房に新しく木工旋盤の機械を入れたので、最大1メートルの丸棒が削れるようになりました。スツールも背の高いものができるようになりました。客室のソファーベッドや、ベッドの脚も丸棒で作っています。

そして、ようやく竣工を迎えることができました。

これは2月に稲武の友人たちとやったテントサウナを楽しむ会です。このテントサウナには最大6名入れます。しっかり温まって整ったら川に飛び込む!極寒の2月に川に入っていたので地元の方に寒中水泳か?と言われました(笑)。

大工の若杉さんも来てくれました。一緒に入った方と仲良くなれるので、hibiの企画としてやっていけたらなと思っています。

 

稲武の街と暮らしを体験できる宿泊スタイル

 

 松島さん、宿泊についてご紹介をお願いします。

松島 最初のコンセプトで“B”を集めるという話をしましたが、hibiはB&B(Bed and Breakfast)という朝食付きの宿泊施設です。夕食は付いていないので、稲武の街にある飲食店で夕飯を食べてもらう、そしてお風呂はホテル岡田屋やどんぐりの湯で入ってもらう。地域の人たちと触れ合ってもらえるようにB&Bにしました。稲武を知ってもらって、より深くこの町を愛していただくきっかけになったらなと期待しています。

3階が僕たちの住まいなので、民泊でもあります。僕たちの暮らしの中に入って来てもらう宿泊スタイルになると思います。元気な息子たち2人もいます。「何だか賑やかで楽しかったね」という場にしたいです。

移住してきた土本隆雄さんが自転車屋を稲武で始めたので、彼にガイドしてもらって自転車で回るサイクリングツアーも企画しているので楽しんでもらいたいですね。いい場所を探すために土本さんと僕ら夫婦で時々回っているんですが、お昼ご飯を現地で作って食べたりとても楽しいです。

 

hibiに泊まってもらうことで、その方たちがより豊かな暮らしを送れるようになる、僕たちも宿泊者の方たちと触れ合うことで、どんどんプラスな要素を受け取っていきたい。そうなるとお互いにより日々が楽しくなる。そういうhibiでありたいと思っています。

 

古橋 稲武は中馬街道という三河湾で取れた塩などを信州へと運ぶ主要な道が通る宿場町でした。私の先祖は300年前に稲武の旅籠に宿泊し、その旅籠をやっていた方に近所の酒蔵の経営が思わしくないことを聞いた。それがきっかけで稲武に拠点を移してお酒づくりを始め、豪農になりました。私が今ここにいるのは、その旅籠があったからです。

新しいタイプの場所に、新しいタイプの人が立ち寄って、新しい交流が生まれて、稲武の街の賑わいになっていく。hibiがその拠点になって、それを見た方が自分もリノベーションをやってみたいと思うような連鎖がつながっていったら、とても嬉しいです。

料金等の宿泊情報については、hibiのホームページをご覧ください。

 

取材 きうらゆか

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1979年生まれ。とよたとつながるローカルメディア縁側編集長。おいでん・さんそんセンターコーディネートスタッフ。2014年、名古屋市から豊田市旭地区に拠点を...

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