はだしで野生を取りもどせ!【はだしで野生を取りもどせ!#6】

コラム

こんにちは、はだしの人金子潤です。

 

はだしで野生を取りもどせ、をテーマに書いてきたこのコラムも最終回。

 

野生を取り戻すための取り組みって何をしたらいいのかな?

5年間の小原での生活でどのくらい野生を育むことができたかな?

 

これまでの振り返りの意味も込めて、庭のメタセコイヤに登ってみました。

もちろんはだしで。

我が家のメタセコイヤは樹齢100年程度の大木。

しっかりとした枝を伝って高度を稼ぐと、あっと言う間に自宅の2階屋根部分よりも高いところに登れます。

そこにはポツリポツリと春を待つ新芽が枝の先から顔を出しています。

枝に座って背中をもたれてみると、暖かくて柔らかい木の幹。

そう言えば、冬の間の木の幹は何だか乾いていて冷たい感じだったし、
梅雨時を過ぎて夏になれば湿ってきて所々にコケが生えてきていました。

 

木登りを通して季節の変化を感じ、自然が発するメッセージに耳を傾ける。

こうした取り組みが日常的にできる田舎はありがたいものです。

 

今回は野生を育むための取り組みについて考えてみます。

 

自分のペースで

 

「マイペース」

「のんき君」

よく妻から言われるんです。

 

しかも、マイペースでありながら、ゆらぎが大きいので
身近で振り回されている人はきっと大変かもしれません。(笑)

 

でも悪い意味ではなく、良い意味で捉えるなら、
自分にとって心地良いペース配分を知っていて、実践できているということ。

 

これは野生を育む上で、とても大切なことです。

 

普段、靴を履いて歩いていた道を試しにはだしで歩いてみてください。

同じペースでは歩けないはず。

足元に注意を払いながらちょっとゆっくり歩く。

自分のココロとカラダがちょうど良いスピードしか出せないものです。

無理をして速く歩くと、途端に小石を踏んだり、ちょっとした段差につまずいたり、何だか上手く歩けません。

はだしになってみると、五感で外の情報をキャッチしながら、身体を移動させることって、かなり高度な動きなんだと気づかされます。

 

普段は、はだしで歩けるくらいのペースで歩けばいいし、

走りたければ、はだしで走れるくらいのペースで走れば良いのです。

これは別に、靴を履くな、とか道具を使うことを否定している訳ではありません。

 

でもたまには、せかせかしている足元にも、はだしでボーッとする時間を与えてみよう、という私からの提案です。

 

はだしで歩くのはちょっと・・・。

 

と言う方もいるでしょう。そんな時は家の中で靴下を脱いではだしで過ごしてみましょう。

公園の芝生の上ではだしになってみましょう。

ちょっとずつ、ちょっとずつできることを広げていけば良いのです。

 

 

はだしで歩くペースと日常の自分のペース。

一見違うことのようで、実は繋がっています。

どんな作業をしていても、身体は動かしているし、その時の心の状態があります。

マイペースを知る一歩は、はだしから。

フィジカルからのアプローチも一つの方法です。

 

自分なりの答え

 

コラムの初回に、野生とは自然を読み、感じるための繊細で敏感な感性を持っている状態と書きました。

私なりの解釈で説明したわけですが、ある物事に対して頭で考えて表現することも自分のペースを掴むことにつながります。

 

これってどんな意味だろう?

なぜそうなるのだろう?

 

ふと疑問になった時に、ポケットからスマホを取り出してネットで検索、検索。

私もついついやってしまう行為ですが、頭の中で時間をかけてあれこれ考えることをすっ飛ばしてますよね。

 

今すぐ知りたいし、知らないとみんなから置いていかれそう。。

でも、そんなに急がなくても大丈夫。

私のペースを超えたところで、ずっと動いているとどこかに歪みが出てくるものです。

 

たまにはスマホから離れて、自分なりの考え方、自分なりの答えを導き出す練習をしてみましょう。

そのための栄養源はいろんな人の考え方に触れることです。

 

ズバリ本を読むことが、その一助になります。

 

私は興味を持った人物に出会うと、「今どんな本を読んでいるか、今までの中でオススメの本は何か」尋ねることにしています。

ネット書店はよく利用する方ですが、本屋や図書館(豊田市の図書館は蔵書が豊富!)にも定期的に行くようにしています。

AIが提案するオススメと書店員さんや図書館司書さんがオススメする本って感性が違うのです。

「こんな本あったんだ!」と言う驚きや喜びは、本屋や図書館の方が断然大きい。

いろんな本を読みながら、そのジャンルについて自分なりの考え方を再構築する。

 

コロナの時代になってから、余計に本を読むようになりました。

薪ストーブの炎を眺めながら、または外で焚き火をしながらの読書は豊かでお気に入りのひと時です。

 

自分のペースで、と言われても、そんな時間は持てないかもしれません。

1日3分。まずは1分でもいいから、呼吸に注目してみてください。

できれば大地に寝そべって、大地の鼓動に耳を澄ませながら、自分の呼吸も意識してみる。

背中と首肩の力を抜いて、地面に自分をゆだねます。

デスクワークしながらでもOKです。

生きるために、ずっと動いている心臓、その心臓のリズムを呼吸しながら感じるのです。

あなたのリズムを大切にしてくださいね。

 

はだしになり、足元が自然に近づいたことで、地球のペースを感じ取れるようになってきました。

これは文明化が目指してきた安全・安心・効率化とは逆のベクトルかもしれません。

でもいろんな自分なりの答えがあっていい。

 

私は野生を磨き、自分の感性に素直に生きる暮らしを追求し、世の中に選択肢として提案することが役目。

自然界が多様性に溢れているように、私たちのくらしも様々な選択肢があって良いのです。

自分に合う選択ができるように、次の世代につながる背中を見せられるように。

 

春の訪れとともに、間も無く新年度。

私も次の一歩を踏み出すことにします。

地に足をつけて生きる。

この世界の深みにはまり、もっと雄大な自然の元ではだしで過ごしてみたくなりました。

自然は厳しく、時に優しい。

畏敬の念、畏怖の念をより身近に感じる場所へ移り住む。

 

小原の古民家の縁側で書いてきたこのコラムの終わりと共に

私もこの家の縁側から下りることにします。


自宅前のお宮の風景

 

 


引っ越し直前の自宅

 

次の地は八ヶ岳の主峰赤岳の麓・清里。

続きは自分のブログに書くことにします。

https://scrapbox.io/junkaneko/

ではみなさん、ごきげんよう!

 

 

金子潤

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千葉県我孫子市生まれ。中京大学スポーツ科学部助教、早稲田大学大学院人間科学研究科修了、日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー 自らはだしで野山を駆け回...

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