• HOME
  • 記事
  • レポート
  • 知りたい!世界の田舎事情#2【フランス】楽しみながら!夫婦で自給生活にチャレンジ

知りたい!世界の田舎事情#2【フランス】楽しみながら!夫婦で自給生活にチャレンジ

レポート

知りたい!世界の田舎事情の第2回目は、フランス
豊田市旭地区で開催された家づくりワークショップ「千年持続学校(※)」に参加されていた星野百合子さん。
フランス人のヨアンさんとご結婚され、現在はフランスのパリから南西に340kmに位置するポワティエにご夫婦で暮らしています。

フランスの田舎事情や、仕事や暮らしのこと、コロナ禍の影響などについて、千年持続学校の仲間だった戸田育代と、編集長のきうらゆかが、zoomでたっぷり伺いました。

※千年持続学校
2011年から豊田市旭地区で開催された、オフグリッドハウスをみんなで建てるプロジェクト。家づくりを通して、大工さんから昔ながらの大工仕事を習い、名古屋大学の高野雅夫教授からエネルギーの自給について学ぶなど様々なプログラムも開催された。プロジェクトを機に旭地区に移住したメンバーもおり、参加した仲間たちの交流は今も続いている。


 

星野百合子(ほしの・ゆりこ)1984年愛知県一宮市生まれ。県立の特別支援学校で教諭として勤務しながら千年持続学校に参加。2013年~15年には青年海外協力隊でフィリピンに赴任し障害者教育に携わった。現在はフランスに暮らしチーズ、ヨーグルト、味噌、パンを自給。野菜、鶏も育てる。ジャム作り、ケーキ作り、クッキー作り、茶摘みと茶作り、梅酒と梅干し、米麹の増殖、布団縫い、薪割り、押し花、紙すき、書道、水彩画、ピアノ、季節行事と行事食…暇に任せて遊びを探す暮らしを実践。

RobinYoann(ロビン・ヨアン)1988年フランス ナント生まれ。モンペリエで大学院を修了後、アメリカ シカゴのノースウエスタン大学での研究職員を経て2017年~19年名古屋大学で研究者として勤務。現在はポワティエの科学館で研究職員として働いている。ロッククライミング、山登り、養蜂、彫刻、大工仕事、植物・鳥・虫の観察、料理、旅行などを趣味としている。3日間かけ夜通し走るウルトラマラソン出場の経験もある。

 

山と旅が大好きなおふたり。お仕事の休みを利用して、日本だけでなく世界各地の山を一緒に旅してきました。

ある時(それはヒマラヤ山脈の上だったそうですが)、「畑を耕して、自然と調和した小さな暮らしをどこかで根を下ろして作ってみたい」と感じたのを機に、名古屋市から2019年フランスのニースへ住まいを移しました。2020年12月からは、見渡す限り平らな畑の景色が続く、ポワティエのアッシニ村に暮らしています。

 

自給する暮らしをしたくてフランスへ

 

星野 日本からフランスに住まいを移す時に、二人とも山のそばに住みたくて、最初はピレネーのあたりで家を探しました。インターネット上の不動産情報で探しましたが、物件がほとんど出てなくて。

きうら 豊田市だと空き家情報バンク制度がありますが、フランスにもそういったサポートはありますか?

星野 フランスにもあったらいいなとすごく思いますね。そういう制度はないので、民間の不動産会社の情報で探します。空き家がないわけではないのですが、田舎のほうでは大家さんがまったく知らない人に貸すことに抵抗があるので、民間でもあまり出ていないです。

戸田 空き家を貸し出すのに抵抗があるというのは、日本と似ていますね。

星野 ピレネーでは家だけでなく、仕事を探しても見つかりませんでした。私は日本でずっと特別支援学校で教諭の仕事をしていたので、障害者施設に履歴書を持ち込んでみたりもしましたが、人手が足りていると断られてしまいました。唯一あったのがスキーリゾートのお仕事。でもその後コロナ対策のためフランス全土で移動制限がかなり厳しくなった(※)ので、もしもその仕事を選んでいたら今頃仕事を失っていたかもしれないと思います。

(※)取材当時フランスでは、住まいから原則10キロ圏内までという移動制限がありました。新型コロナウィルスが蔓延し始めた頃は一番制限が厳しく、1キロ圏内までだったそうです。

 

田舎の住まい探しはやっぱり大変!?

 

星野 ピレネーのあたりで住まいが見つからなかったので、そのあとはヨアンさんのお仕事の関係でニースに住んでいました。ニースは都会なので、自給的な暮らしや畑ができる家をずっと探していて、ポワティエに移ったんです。ヨアンさんは光の専門家で名古屋大学でも青色LEDの研究室で働いていたのですが、その関係の研究員の仕事がポワティエであるよ、という情報をもらったことがきっかけでした。


職場の科学館で光の実験をしているヨアンさん

 

戸田 ヨアンさんにぴったりのお仕事がポワティエで見つかったんですね。

星野 そうなんです。ポワティエは平野で山は近くにないですが、田舎のエリアがあります。住まいをインターネットで探していた当時、コロナ対策の移動制限があってこの家を実際に見に行くことができない状況でした。不動産屋さんがテレビ電話で家の中を見せてくれたのですが、電波がなくて結局ぜんぜん見えませんでした!でもほかに空き家は見つからないし、ヨアンさんは12月から仕事に来てほしいと言われていたのもあって、思いきって決めました。ここに住み始めて5か月たったところです。

きうら 今はこうしてzoomでお話できてますね。

星野 引っ越しした当初は、電気もWi-Fiも来ていなくて。真冬で、寒くて大変でした(笑)ヨアンさんが自分で電気関係のことができるので、2か月くらいかけて少しずつ整えてくれました。

戸田 冬の寒さはどれくらいですか?

星野 千年持続学校でお邪魔していた旭地区と同じような感じかなと思います。フランスに渡る時に母が持たせてくれた、中綿入りの“どてら”という上着が大活躍しました(笑)こちらはどの家もとても大きくて、部屋も広いので暖房費もめちゃくちゃかかります。それも、若い人が田舎を敬遠する理由の一つみたいです。

きうら どのくらいの広さですか?

ヨアン 敷地は150平方メートルくらいです。部屋は8つくらいあります。

星野 ひとつひとつがめちゃくちゃ広いんです!家のほかに、動物が飼える小屋が4つあって、ひとつはニワトリ小屋、ひとつはウサギ小屋、ひとつは薪などを入れて使っています。車が3台くらい停められる広さのガレージもあります。家のそばで自給用の畑も始めました。家賃は6万円くらいです。


動物小屋の一番奥にある釜。現在は使っていないが、昔は絞めた鶏を釜の湯に浸けて毛をむしるのに使っていたという

戸田 百合子さんたちの後ろに素敵な古い柱が見えますね。

星野 築300年の、もともとは牛小屋だった建物なんです。大家さんがゲストハウスにするために改築したもののあまりゲストハウスとしては使わなかったみたいです。その後は借家として、いろいろな人が利用してきたと聞きました。

戸田 築300年!

星野 田舎の人は、古くて大きな家を何軒も持っていて、この家の大家さんも7,8軒所有しています。最近は田舎に若い世代が少なくなって、使われていない閉め切った空き家が多くて家が傷むことが問題になっているようです。

 

暮らしの中で感じる格差のこと

 

星野 フランスは、地方ごとに育てる作物が決まっているという特徴があるのかなと思います。ここは、周囲は見渡す限りどこまでも麦畑です。それと、油用の菜の花、穀物用のひまわりや、種をシリアルとして食べる青い花が一面に育っています。

戸田 壮大な景色ですね。

星野 農業も大規模で、腕の長いロボットが水を撒いていたり、空からヘリコプターで種播きしたりしています。

ヨアン 名古屋で暮らしている時に、豊田の旭地区など日本の田舎に行きました。家のそばに小さな家庭用の畑があっていろいろな野菜を作っている風景があって好きでした。そういう景色はここにはあまりないです。

星野 私たちが鍬で耕しているのを大家さんが見て、「それは何百年も前のスタイルだね!」と言ったりします。それに、ここは野菜作りには厳しい土地みたいで、「それ住む前に教えてくれ~!」と思いました(苦笑)

きうら フランスは個人農家が作ったオーガニックな野菜がマーケットで売られているイメージがあって、大規模な農業がちょっと意外な感じがしました。

星野 スーパーに行くとビオ(有機)のコーナーもあります。普通のコーナーとはっきり分かれていて、価格もものすごく違うんです。オーガニックな農業をやっている地域もあるのだと思います。

星野 オーガニックのものとそうでないものの価格の差が日本より大きい気がします。大規模栽培で低価格で取引される農業と、オーガニック栽培で高価格で取引される農業があるのかもしれないです。

きうら なるほど。

星野 大家さんは牛を50頭飼っていて、ミルクを絞ってスーパーに持って行っているみたいですが、1リットル50円くらいだったか、ものすごく安いと怒っているのを聞いたことがあります。以前どこかの酪農家が安すぎることへの抵抗感を意思表示するためにスーパーの前でミルクをぶちまける映像を拡散していて、ヨアンさんは、それを見たことがあると言っていました。

きうら そんなことがあったんですね。

星野 大量生産で安価のものと、有機で高価なものの価格の差が大きくて、品質の差も大きいと感じます。それもあって自分たちで畑をして自給する暮らしが安心でいいなと思うんです。

 

アッシニのこと

 

星野 私たちが暮らしているアッシニは日本でいうと「村」にあたると思います。アッシニの人口は2015年のデータで約1000人でした。そこから今はどんどん減っているみたいです。1キロ四方に16人という人口密度のデータもあります。

ヨアン でもこの家から1キロ四方に、他に誰も住んでいないよね(笑)

星野 うん(笑)大家さんの家が1キロちょっと先くらいにあるね。そこは、何世代かで大家族で住んでいて、そういう大家族の農家がいくつかあります。

戸田 ヨアンさんの職場はどのあたりですか?

ヨアン 家から片道30キロくらい、ポワティエの街のほうのエリアにあります。

星野 ヨアンさんは、週の半分くらい自転車で通勤してるんですよ~!

戸田 片道30キロを!?

星野 ヨアンさん、なるべくガソリンを使いたくない気持ちがあるので。

戸田 すごいですね!

星野 フランスでは今コロナ蔓延対策のため、住まいから10キロ圏内までという移動制限があるのですが、スーパーはその範囲内にはなくて。ヨアンさんは通勤のための移動許可証を持っているので、仕事の帰りに買い物を頼むこともあります。

きうら 地域に学校はありますか?

星野 アッシニの真ん中あたりに教会があって、そのそばに小学校があります。中学校はもう少し遠いところまで行くみたいです。フランスは基本的にどこでも、小学校の登下校は保護者が送り迎えしています。クラスは、子どもの人数が少ないので2つの学年でひとつになっているみたいです。

きうら 豊田市の山村地域でも、児童数が少ないと複式学級になるので同じですね。フランスの方は、人口が減ることについてどう感じているのでしょう?

星野 ここで300年暮らしている家系の大家さんが、「最近このあたりで子どもが減っている」と嘆いていたので、問題意識はあるのかもしれないです。でも、フランスは日本の2倍の面積に、日本の半分くらいの人口規模なので、そもそもが少なくて気にならないというか。日本のほうが、田舎でも隣の家が近くて人が密な感じがします。

 

やれることには何でもチャレンジ

 

戸田 お二人は、そこでどんな暮らしをしていきたいですか?

ヨアン 食べ物や着るもの、エネルギーなどを、なるべく自分たちで作る暮らしをしたいなと思って挑戦しています。


ハチの巣箱はヨアンさんが手作りして、巣箱の屋根に茅葺もした

 

星野 畑の野菜も、販売は考えていなくて。無いものは交換し合ったりして、経済社会から少し離れた暮らしという感じかな…?

戸田 ウサギも食べる用に飼っているの?

星野 そう、市場で買ったウサギ肉があまりに美味しくて。まだ飼い始めたところですが、ウサギは増えすぎると病気になって死んでしまうと聞いたので、子どもが生まれたら食べようか…と考え中です。

きうら ウサギってどんな味なんですか?

星野 ブタとも牛とも違うし、鳥に近いと言われますが、ヨアンさんは鳥とも違ってウサギはウサギと言ってます(笑)

戸田 畑ではどんなものを育てていますか?

星野 フランスならではの白くて甘いニンジンや、アンディーブ(チコリ)なども育てています。育てたことがないので、芽が出ても日本のニンジンとは全然違ったりして、雑草と思って抜きそうになります(笑)

戸田(笑)

星野 酵母を自分でおこして、パンも作れるようになりました。酵母は季節の、今だとイチゴや、フランスはレーズンがたくさんあるのでそれで起こします。蓋つきの容器に入れた生地をベッドで一緒に温めながら寝て発酵を促して、朝に焼くんです(笑)

戸田 一緒に寝て温めるとは生活の知恵ですね!

星野 お茶やハーブティーを作るのも大好きです。ヨーグルトや、チーズも作れるようになりました。ミルクは近くの酪農家さんから、パンの小麦も近くの農家さんから購入しています。自給するということに加えて、近くの農家さんと物々交換するのもいいなと思ってます。

星野 日本のものも大好きで、塩麹も大切につないでいます。冷蔵庫がないので、お肉の保存に大活躍してくれているんです。日本から持参したものに、塩辛いおかゆを足して、時々乾燥麹を取り寄せて…というやり方でつないでいます。お味噌も大好きで、大豆がなかなかないのでひよこ豆で作りました。ソジャ・ジャポネ(日本の大豆)というのがあって、こちらの土では大豆は育たないと言われているんですが、枝豆が食べたくて少しだけ蒔いてみようと思ってます。どうなるか楽しみです。

戸田 楽しみですね!

 

 

長男が家を継ぐ?

 

きうら 日本だと、田舎に注目する若い人も出てきていますが、ヨアンさんのように田舎で自給的な暮らしを目指す若い人はフランスでは増えているんですか?

ヨアン どうかな…。いると思っていますが…。

星野 ヨアンさんの周りにはいるみたいですが、フランス全体的に増えているかと言われると難しいですね。そういう暮らしがしたくても、まったくお金が不要というわけではないし、田舎には仕事があまりないのがネックなのではないかとヨアンさんは言っています。

きうら 日本だと、小規模な農業をしようと考えて移住する人や、最近ではリモートワークが普及してきてネット環境があればどこでも仕事ができる人も増えているみたいなんですが、フランスではそういったことはありますか?

ヨアン そういうことも可能だとは思いますが…。

星野 最近この地域に移住してきた若い人は、大きな音で音楽をかけたりしていて、畑をしたりはしていないね。田舎に住みたい理由が違うような気がします。

きうら 日本だと、都会に疲れて田舎に移住する若い人もいますが、フランスではどうでしょう。

星野 それはまさにヨアンさんのことです!フランスでは都会がすごくうるさくて。アパートの隣の人が、遅くまで大音量で音楽をかけていたりするんです。そういうのが苦手というのも田舎が好きな理由の一つにあります。

きうら ヨアンさんは、どうして自給的な暮らしをしたいと思うようになったんですか?

ヨアン 子どもの頃に田舎に住んでいたことは影響があると思います。両親が仕事で忙しかったときにはよく祖父母と過ごしていました。

星野 あと、山に登ることが大好きで。自然と調和した暮らしがしたいと思うことにつながっているかもしれないですね。

きうら ヨアンさんは、実家に住むということは考えたことがありますか?日本だと、長男が家を継ぐというような考え方がまだ残っていますが、フランスではそういうことはないですか?

星野 ヨアンさんのふるさとは、気候も良くて、畑をするのにもとってもいい地域なんですよ~!でも、実家に戻る気はないようです。私はそっちで暮らしてもいいと思っているんですけど(笑)

ヨアン 古い時代は、長男が継ぐという考えがあったと思いますが、今の若い世代は家を出て自分たちで自立して暮らすという考え方のほうが多いですね。あとは、あの石碑の…。

星野 ヨアンさんは「道は雑草の中にあり」と書かれた石碑を見たことがあって。そういうような感覚かもしれないということです。親の跡を継ぐではなくて、自分で道を拓きたいというような。

きうら そうなんですね。

ヨアン あとは…家族の問題かもね?(笑)

星野 ヨアンの家族はとっても仲が良いんですけどね。親戚が大勢集まって食事をする習慣がフランスにはあって、食事を作る当番が順番でまわってくるんです。そこで、いろんな話が筒抜けになって、そういうのが苦手な若い人もいるかな。

きうら ヨアンさんのご両親は、お仕事は何をされていますか?

星野 ヨアンのお母さんは県立病院の看護師です。お父さんは村の電気技師をしていて、いろんなお家に呼ばれて配線を直したりネット環境を整えたりしていたそうです。村のみんながお父さんを頼りにしていて。それもあって、役場でも頼まれて電気技師をしていて、今は公務員です。

きうら ヨアンさんのご両親は祖父母と同じところに暮らしていますか?それとも、今のヨアンさんたちのように、どこか別の場所から来た?

星野 ヨアンさんの祖父母はナントにいて、ワイン用のブドウを育てていたと聞いたことがあります。ご両親もナントに住んでいますが、住まいは別です。お父さん世代では、両親と近い場所で暮らすという考え方だったみたいです。そういえば、今住んでいる家の大家さんのところでは若い世代が農業を継いでいたので、まだその考え方も特に田舎のほうでは残っているのかもしれないです。

きうら なるほど~。

星野 ナントの祖父母は80歳を過ぎたこともあって、ブドウ畑は売却したようです。ナントに二人で遊びに行ったときは、昔ながらの暮らしのことをたくさん質問して教えてもらいます。

 

ご近所づきあいのこと

 

星野 お散歩していると、動物には会っても人にはひとりも会わないということもあります。

戸田 日本とスケールが違いそうですが、田舎あるあるエピソードですね(笑)

星野 まれに誰かに会うことがあれば、ろいろ話します。先日も、お散歩していたらあるお家で豚を解体していて、後でソーセージをおすそ分け頂いたことがありました。別のおばあさんのところで卵を頂いて、私がケーキを焼いてお返ししたら、卵が倍になって帰ってきたこともあります。

戸田 それも日本の田舎でもありますね(笑)

星野 あとは、ご近所の方と話していて、○○さんのお家をお借りして引っ越してきました、と言うと、なんだかんだと話した末に「あそこの○○は~…」と悪口になることがあって。

戸田 それも国が違えど、田舎ならどこでもあるのかも…(苦笑)

星野 家賃はいくらだと聞かれて話すと、「なんだそんな高い家借りてるのか、うちにもっとちょうどいい大きさの家もあるし、もっと安く貸してやるぞ」と言われることもあります。

戸田 なんとかして田舎に住み始めれば、地域の人もその人がわかって安心して家を貸してくれるということは日本の田舎でも聞く話です。

きうら それで、安い方の家に引っ越しされようと考えますか?

星野 そうすると、地域の○○家と○○家の争いみたいなものに巻き込まれそうなので…(苦笑)。どこかのお家と深く付き合うというよりは、私たちみたいなよそから来た人はどこのおうちともそれなりに付き合うというのがいいのかな。

きうら 長い歴史の中でいろいろあるんですね。

星野 あからさまにけんかしているわけではなくて、日常は平和にやっている感じです。あるお家で、この土地の歴史をおばあさんが話してくれて、興味を持って聞いていたら奥からものすごく長い古い巻物みたいなものを出してきて見せてくれたことがありました。ご先祖代々、誰がいつ生まれてどこへ行っていつ亡くなった、みたいなことが書かれていて。すごいなと思いました。

 

日本とフランス、田舎の違い

 

きうら 日本の田舎を見た印象とフランスの田舎とで、ヨアンさんが違うなと感じることはありますか?

ヨアン 日本は、寄り合いがあるところが…。

星野 旭地区の友人宅でヨアンさんが驚いていたのが、寄り合いだ、祭りの笛の練習だといって、月に何度も出かけていたことです。フランスには、そういう義務のようなものはありません。

きうら 地域で草刈りなどの共同作業もないですか?

星野 ないです。

きうら 何か、地域でボランタリーな活動はありますか?

星野 例えば、古いお城の修復作業をみんなでしよう、ということがあると、それを進める人が声をかけて、やりたい人が手を挙げて参加するという感じですね。サークルみたいな感じかな。

戸田 なるほど~。個人の意思で参加する感じですね。

星野 実はフランスに来る前に、日本でも住む場所を探したんです。山がある長野や友人がいる豊田でも。でも、当時、ヨアンさんはそういう義務が多いところがちょっとしんどいなと感じたんです。

きうら そうだったんですね。

星野 あとは、家が狭くて隣が近いことや、人の距離が近いこともネックでした。私は日本の田舎のお家はじゅうぶん広いと思うのですが(笑)

きうら それ以上にそちらはお家も敷地もとっても広いですもんね。

ヨアン 「日本は、近くて優しい。フランスは、広くて冷たい」(笑)

星野 例えば農薬を使いたくないからと畑で雑草がぼうぼうに生えていても、大家さんや近くの人からそれについて何か言われるということはフランスではないです。個人個人の境界がはっきりしているという感じかもしれないですね。そのかわり、気を使ってくれたり、お野菜が玄関先に置かれていたりということもないです。でも冷たいわけではなくて。以前薪が欲しくて困ったときに、はっきり頼むととてもこころよく助けてくれたということがありました。

きうら そうなのですね。

星野 でも今は、ヨアンさんも日本に暮らしたい気持ちが強くなってきていて、地域の寄り合いやお祭りの練習なども参加したい、みんなとやりたい!と言っています。日本に帰りたいときは豊田でお世話になるかもしれません!

戸田 ぜひぜひ!お待ちしています!

星野 今はなかなか日本に行けないですが、行けるようになったら夫婦でまた旭にも遊びに行きます。こちらにも遊びに来てくださいね。

戸田 ありがとうございます!お話たくさん聞かせていただき、ありがとうございました。


[取材を終えて]

フランスと日本をzoomでつなぎ、田舎事情やコロナ禍の今ならではの様子などもたくさん伺うことができました。とても興味深く、笑いもいっぱいの楽しいインタビューでした!おふたりにお会いできる日が来るのが待ち遠しいです。

戸田育代

323 views

豊田市の山村地域に夫婦で移住して11年。4人の子育て中。子どもたちと、野山や田んぼの広がるご近所を散歩することが好き。子どもの頃に海外に住んだことがきっかけ...

プロフィール

ピックアップ記事

関連記事一覧

  1. この記事へのコメントはありません。

CAPTCHA