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人とのつながりが防災になる!『防災だよ!全員集合 みんなの防災フェスby カナヤキャンプ』イベントレポート

レポート

[sponsored by 豊田市地域支援課]

2023年11月11日、豊田市立朝日丘中学校で防災イベントが開催されました。

イベントのタイトルは「防災だよ!全員集合 みんなの防災フェスby カナヤキャンプ」。豊田市が、朝日丘地域住民への防災啓発のために、市民団体「カナヤキャンプ」と一緒に実施したイベントです。サブタイトルは「防災って実はすごく身近なことなのかもしれない。おとなもこどもも、みんなで#楽しい防災を!」。弾き語りあり、スポーツありの楽しめる防災イベントでした。当日の模様をお伝えします!

 

最初に豊田市の担当部署、地域支援課の吉村亜美さん(下写真:左)と田嶋優俊さん(右)に、開催の経緯をお伺いしました。

「豊田市には、それぞれの地域事情を考慮してまちづくりを進める上で、地域の課題を地域住民自らが考え解決していく地域自治システムという仕組みがあります。地域住民の意見は、地域会議で集約されて、その意見は市の施策や事業に反映されます。朝日丘地区では、『住民の防災意識が低い』という課題があがってきて、平成27年度から防災事業に取り組んできました」と田嶋さん。

令和2年には朝日丘防災ガイドブックを作成した

「その事業の一環で、今回のイベントを実施することになりました。朝日丘地区の金谷町で月に1回、地域住民に飲み物のふるまいをしてつながりづくりをしている市民団体カナヤキャンプが、“楽しい防災”をテーマに企画をしていたことを知り、ご一緒できないかとお声がけしました」

カナヤキャンプメンバーのみなさん

「カナヤキャンプのみなさんと相談し、気軽に来てもらえて、交流とつながりが生まれるような楽しい内容にしようと決まりました。開催場所の朝日丘中学校が、災害時の指定避難所だということを知ってもらい、実際に来てもらって自宅からの時間と距離をわかってもらうだけでも意義があるという話も出ました」と吉村さん。

 

お二人からお話を伺った後、関係者のみなさんが続々と集まり、和気あいあいとしたようすで準備を進めていました。

 

ミーティングが終わり、13時からイベントがいよいよスタート!

来場者は受付で「どの小学校区から、どのような手段で来ましたか」というアンケートに答え、乾物インスタントスープアルファ化米をもらうことができます。

受付のすぐ隣には、豊田市とおいでんエネルギー(株)がそれぞれ所有するPHV(プラグインハイブリッド車)と、おいでんエネルギー(株)のソーラーパネルキットの展示と実演がありました。

PHVの電源でお湯を沸かして、乾物スープを作っている方がいました。

もう1台のPHV電源には、オーブンレンジがつなげてあり、カナヤキャンプの井出敏一さんが焼き芋をふるまってくれていました。

PHVの向かい側には、テントサウナ(おいでんエネルギー(株)所有)の体験スペースがありました。

テントサウナは、テントの中に薪ストーブが設置されているため、災害時に電気がなくても暖を取ることができます。

中をのぞいて見ると、強い風が吹いて寒い日だったためか、みなさん笑顔で暖まっていました。

体育館の入り口には、訪問看護ステーションみらいによる健康チェックと相談コーナーが設けられ、血圧、酸素飽和度の測定、食生活や運動についてのアドバイスが行われていました。また、災害時に援助を受ける際、障がいの有無や、かかったことのある病気、使用している薬など自分の情報を知ってもらうための「わたしのカルテ」が配布されていました。

体育館に入ると、最初に「大きな鉄道模型の運転体験コーナー」が目に入りました。安達佳津見さんが個人所有している鉄道模型を「みなさんに楽しんでもらいたい」と出展されたそうです。来場者は運転士になりきって、安達さん手づくりの操作盤のレバーを動かして電車を走らせていました。

隣には、豊田工業高等専門学校の建築学科による「いつどこスツール」展示がありました。形も大きさも様々なダンボールのスツールが並んでいます。学生が2人ひと組になり、お互いの要望を聞き合い、持ち運び可能でいつでもどこでも使えるスツールをデザインしたそう。

「縦1メートル横2メートルのダンボールを最大3枚まで使うことができる」「ボンドを使わない」「組み立てられる」の3つが設計の条件だったということです。

 

スツールを作った学生さんご本人が、組みピンを外して折りたたむ実演をしてくれました

その横には、「避難所生活体験コーナー」がありました。避難所で使われる段ボールの簡易ベッドや間仕切りが展示され、来場者はめずらしそうな様子で見学したり、触れたりしていました。

自治区だよりの掲示板に目を通しながら奥に進んでいくと、子どもたちがバルシューレ教室豊田校(NPO法人KEY)によるバルシューレ体験で盛り上がっていました。

バルシューレとは、ドイツで生まれたボール遊びのこと。およそ150種類のボールゲームを通じて、さまざまな体の動きを経験できるそうです。

バルシューレの奥のスペースでは、YSスポーツクラブによるバトミントン体験が行われていました。ネット前での構え方、ラケットの振り方、シャトルの打ち方など『ネット前スマッシュ』のやり方について、インストラクターが見本を見せながら教えていました。

なぜ防災イベントにスポーツ体験があるのかを、カナヤキャンプの鬼木基行さんに聞いてみたところ、ひとつの事例を紹介してくれました。

「2016年4月に熊本地震が発生した時、登山家の野口健さんが陸上競技場に被災者用のテントを張り、テント村を作りました。トラックの真ん中が空きスペースになっていて、子どもたちが笑顔で走り回ったことで避難所の雰囲気が明るくなったそうです。大変な時でも、体を動かして楽しむことが心の余裕を生むと感じました」

再び外に出ると、メインステージでは、2つのライブが行われていました。

最初のステージは、モバイルハウスで生活し、全国を旅しながらアコースティックベースで歌を届けているトオルコバヤシさんによる弾き語りでした。

 

 

二つ目のステージは、長野県出身、2011年の大震災以降、福島の子どもたちとのサマーキャンプなどを主催してきたシンガーソングライター峰村慶太朗さんによる弾き語りでした。

時刻は15時になり、イベントが終了。

この日、カナヤキャンプとのつながりがきっかけで、中京大学総合政策学部総合政策学科の12名がボランティアとして参加し、準備から片付けまでスタッフの一員として働いていました。感想を聞いてみると「色んな年代の方がいて話ができたことが良かった」と教えてくれました。

少しホッとした様子の主催者お二人にも、イベントを終えた気持ちを聞いてみました。

「出展者、ボランティア、ご来場いただいた方、みなさんと心のつながりがあったからこそ、開催できたイベントだと実感しました。被災した際にはモノだけあれば満たされる訳ではなく、やっぱり地域住民どうしの心のつながりが欠かせないと思います。大規模なイベントではなかったけれど、大きな一歩が踏み出せたと思います」とカヤナキャンプ鬼木さん。

「朝日丘地区の多くの方が来てくださいました。このイベントを通じて、地域のみなさんが防災のこと、地域で活動している方について少しでも関心を高めていただけたら幸いです」と豊田市地域支援課の吉村さん。

今回の防災フェスは、楽しむことに重点を置いて、顔の見える関係性を広げていく素晴らしい機会だったと感じました。イベントで深まったつながりが、朝日丘地区の防災に役立つことを期待したいと思います。

きうらゆか

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1979年生まれ。2014年、夫のUターンに伴って豊田市山村地域・旭地区に移り住む。女性の山里暮らしを紹介した冊子「里co」ライター、おいでん・さんそんセン...

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