裏山の木でマイホーム建てまーす!|第2話 間伐ボランティアのみなさん、木をありがとう!
そこに木が生えているのに、その木で家を建てることは滅多にない。
そんな時代に、地元の木で自分の家を建てるって、どういうことか。
山の木でマイホームを建てるまでのストーリー。
前回のコラムはこちら↓
山から木を伐ってくる・・・。
皆さんならどうしますか?
移住してから家を建てることになって良かったなと思うのは、「相談する相手がいっぱいいる」ことです。
まずは勤務先のつくラッセルのみんなに相談。「そりゃ、間伐ボランティアさんに伐ってもらうだわ」と言われました。
森林環境を健全に保つためには、生えている木のうち、あまり成長していないものを伐採し、間引いて隙間をあける「間伐」という作業が必要です。豊田市では、間伐ボランティア初級講座を受講した方々により、毎年新たなボランティアグループが誕生していて、地域の山主さんの許可を得て活動しています。
ということで間伐ボランティアもされていて、つくラッセルで間伐材を活用するべく木工室を利用されている間伐木工研究会の杉田さんに相談させてもらいました。
余談ですが、私も間伐ボランティア研修を受けたことが一応あります。
2019年9月間伐ボランティア研修初級講座
杉田さんからの紹介で、惣田町で活動されている「とよた旭七森会」さんに依頼していただけることになりました。
とよた旭七森会については以前、縁側で取材した記事がありますので、そちらをご覧いただけると良くわかるかと思います。
実際に材を伐って出していただいたのが2021年の秋冬。
今回改めて当時の様子について「とよた旭七森会」の皆さんの活動休憩中にお邪魔して、お話しを伺いました。
以下、代表の袋さんに伺った内容です。
代表の袋さん
チップや薪でなく、木として残してみたかった
「七森会の活動は、1月~3月は材出し、4月~夏まではのんびり活動し、秋から木を伐り、出すのが1年間のサイクルです。森林ボランティアとして『しっかり材を出す』ことを4~5年やってきました。でも伐った木はチップ材や薪材などカタチとして残らない。
いつか『木として残したいね』と2020年度の活動が終わった時に、みんなで話していた。そんなタイミングに杉田さんから『大山さんが家を建てるための木を必要としている』というお話を聞きました。
『自分たちが伐った木で家が建つのならこんな面白いことはない』と二つ返事で了承しました。
話を聞いたときに、『家の材を出すならこの山しかない』と思っていた山がありました。七森会で一番初めに入って間伐させてもらった山なので、いい材が残っている。山主さんも快く了承してくれました。
建材用の木を出す難しさ
ここまではよかった。いざ伐るとなってから問題がわかってきました。
まず、どの木をどう伐ったらまっすぐな材がとれるのか。次に、いつもは2mの材をトビという道具で、山の外へ運び出すが、4mの材はどう出すのか。他にも直角に玉切りしないと製材してもらえないなど、今の私たちのスキルでは難しいのではないかとその時になって思いました。
ちょうどそのタイミングで、間伐ボランティアの先輩「有山会」の皆さんが七森会に入ってくれることに。有山会は高齢化により、会を続けるのが難しくなったため統合することになりました。
中央が袋さん、右が高橋さん
有山会で活動されていた高橋さんは木に関わられて14年。今でも自然農をされている息子さんと一緒に山に入られています。
高橋さんは「家一軒分の材を出すことが本当にできるのか?期限までに素人が責任もって出せるのか。無理をして怪我をしないか」と心配していました。
最初はポータブルウィンチを使って材出しをしていましたが、新たにマッシュプーリーを購入し、材出しに挑戦!ロープの張り方、滑車の付け方などすべてが試行錯誤。
この経験でメンバーのスキルが上がった!
高橋さんはじめ有山会の皆さんが合流してくれたおかげで、木の見方や玉切りの仕方、枝の払い方、トビの使い方など全員のスキル向上に繋がりました。
高橋さんは「これまでは材を利用するといっても多少傷がついても大丈夫だったけれど、今回は傷をつけてはいかんと思って作業しました。山仕事をされているプロの大変さを実感できました」と言っていました。
お話を伺った日、高橋さんからチェーンソーの刃の目立ての講習が自然と始まりました
七森会のメンバーの佐野さんにもお話を伺うことができました。
「普段伐っている木よりも長い木を伐ったため、重くて山から出すのが大変でした。いつも伐っているのはチップなどになるだけだから、これから家になって何十年も活用されるので、よかったなと思っています。」
結果として4m材を150本、3m材を50本、垂木を30本出していただきました!
袋さんから「製材してもらう材出しは非常に緊張し、大変でしたが、面白かったです。『木として残したい』と思っていたタイミングでの依頼。これまでの自分たちだけでは乗り越えることができなかった挑戦を、先輩の力添えによりできたこと、みんながスキルを向上できたこと。すべてが奇跡的なタイミングだと思いました。」とコメントをもらいました。
今回取材させていただいて、やはり作り手の顔の見えるやり取りの重要性を感じました。今後この家に住むだけでなく、この思いも合わせて語っていくことが七森会の皆さんや山主さんへの恩返しになると思っています。
大山 侑希
1,079 views1986年生まれ、一宮市出身。幼少期から社会の仕組みに疑問を抱く。大学卒業後、大阪の会社、添乗員、事務職など都会で生きていくために奮闘。田舎で暮らしている同...
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